【前提なし平和条約】日米にくさび 経済低迷のロシア、日本の投資狙う - 産経ニュース

【前提なし平和条約】日米にくさび 経済低迷のロシア、日本の投資狙う

東方経済フォーラム全体会合で演台に向かうロシアのプーチン大統領(中央)と安倍晋三首相(左)。右は中国の習近平国家主席=12日午後、ロシア・ウラジオストク(古厩正樹撮影)
 ロシアのプーチン大統領は安倍晋三首相に呼びかけた「年内の平和条約締結」について、「条約には両国が(領土)問題の解決に努力することを盛り込める」などと説明している。北方領土問題を棚上げにした、中間的性格の条約を念頭に置いている可能性が高い。ロシア経済の低迷が続き、米国の対露制裁圧力も強まる中で、日本を揺さぶり、日米間にくさびを打ち込む思惑がありそうだ。
 プーチン氏は安倍首相も出席した東方経済フォーラムの全体会合で、平和条約を「前提条件なしで年内に締結する」という趣旨を述べた。一般に平和条約は国境線の画定を伴うものであり、「前提条件なしで平和条約」の真意は必ずしも判然としない。
 プーチン氏は「領土問題を解決するのに快適な環境をつくらねばならない」と述べており、何らかの日露条約が「環境づくり」に資すると考えているようだ。
 領土問題についてプーチン氏は「道義的・政治的性格のもので、両国民にとって大変敏感な問題だ。慎重に取り組まなくてはならない」と述べた。
 プーチン氏が「条約締結」に言及した背景には、経済低迷から脱却する道筋を描けず、日本との「経済協力」も期待したように進んでいない事情がある。
 ロシアの国民1人当たりの国内総生産(GDP)は過去10年間で7.5%増にとどまり、都市部を中心にプーチン政権への不満がくすぶっている。政権が課題とする極東地域の開発も進まず、中国の経済的存在感ばかりが増している。
 日露の条約締結で友好ムードを演出し、日本からの投資や技術協力を引き出したいのがロシアの本音だ。
 ロシアのウクライナ介入をめぐって対露制裁を科してきた米国は4月、大統領選干渉やシリア問題を理由に対露追加制裁を発動。ブラックリストに載った企業や人との取引を禁じる厳しい内容で、露経済への打撃は小さくない。
 ロシアは、日本が米国製の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」導入を計画していることにも強く反発している。