「敵意と恐怖で国民をあおっている」オバマ前大統領が痛烈批判 中間選挙まで2カ月、民主党応援へ全米遊説開始

トランプ政権
7日、米中西部イリノイ州で講演するオバマ米前大統領(ロイター)

 【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ前米大統領は7日、中西部イリノイ州の大学で講演し、トランプ政権下での一連の政治的混乱を「正常でない」と断じ、トランプ大統領は「敵意と恐怖」で国民をあおっていると非難した。大統領を退任後、政治的発言を自制してきたオバマ氏がトランプ氏を公の場で批判するのは初めて。オバマ氏は中間選挙(11月6日投開票)を2カ月後に控え、議会での民主党の多数奪還を目指して投票を呼びかける全米規模の遊説活動を始動させた。

 オバマ氏は、トランプ氏の下で「健全な民主体制」を支える三権分立が機能しなくなっていると指摘。個別の政策でもトランプ氏と共和党が「同盟諸国との関係をないがしろにしてロシアとなれ合っている」「世界の国で唯一、(気候変動抑制に関する)パリ協定から脱退した」などと批判し、「共和党はもはや保守とはいえない。過激派だ」などと断じた。

 オバマ氏はその上で、「民主主義への最大の脅威は無関心であり冷笑主義だ」と述べ、支持者らに中間選挙で投票するよう要請。さらに、党派の別に関係なく「政府に誠実さと良識、正当性を回復させなくてはならない」と訴えた。

 米国では大統領経験者は後任の大統領の仕事ぶりを論評しないのが伝統となっており、オバマ氏による今回の批判は極めて異例。

 民主党は今回の中間選挙で、下院(定数435)で現有議席193に加えて25議席、上院(定数100)では同49に2議席を積み増せば多数を奪還できる。

 オバマ氏は8月、14州から出馬する計81人の民主党候補の「支持」を表明。8日には西部カリフォルニア州オレンジ郡、13日には中西部オハイオ州を訪れ、民主党候補の支援者集会で応援演説を行う。

 オバマ氏のミシェル夫人も今月下旬、西部ネバダ州ラスベガスと南部フロリダ州マイアミで市民らに有権者登録を呼びかける集会を主催する。

 一方、トランプ氏は、この日のオバマ氏の講演について「テレビで見たが寝てしまった。彼の演説は眠りに就くのに最適だ」と皮肉を述べるにとどめた。

 トランプ氏の支持層は、オバマ氏を「米国を悪くした元凶」とみなして敵視している。このため、同氏が表舞台に出ることで、かえって親トランプ派が奮起し、民主党には逆効果となるとの見方も出ている。