シリア最終局面へ、支援、慎重…思惑さまざま ロシア・イラン・トルコ

 

 シリア内戦でロシア、イラン、トルコの3カ国は、国連とは別に和平協議の枠組みを設けるなどして協調をアピールしてきた。トランプ米政権への反発を軸に連携してきた面もあり、思惑はさまざまに異なっているのが実情だ。

 ロシアとイランは、バッシャール・アサド現大統領の父、ハフェズ・アサド前大統領時代からのシリアの伝統的友好国だ。内戦ではロシアが上空からの空爆で、イランは地上戦でアサド政権を支えてきた。ただ、この夏には両国の協調が乱れているとの観測が出た。「イランに対し、シリアから撤退するよう命令できるか」と聞かれたロシアの外交官が「できない」と明言したのだ。

 シリアを中東をにらむ橋頭堡(きょうとうほ)と位置付けるロシアと、イスラム教シーア派住民や民兵部隊を基盤に周辺国への影響力の拡大を図るイラン。両者の間に微妙なずれが生じていることをうかがわせる。

 残るトルコは、シリア北部の少数民族クルド人の民兵部隊を制圧するため内戦に介入。自国の安全確保が主な目的で、ロシアとイランとは動機が異なる。

 半面、3カ国にはトランプ米政権が個別の理由で制裁を科し、対米関係が険悪化している。特に、イランは核合意を離脱した米の制裁再開で、経済の疲弊が著しく世論の反発も根強い。イドリブの戦闘が本格化した場合、豊富な兵力を注ぎ込めるかは未知数だ。

 イスラエルのリーベルマン国防相は8月下旬、「イランのシリアにおける活動の規模は縮小した」と述べた。米国の制裁やイスラエルの軍事攻撃を受け、「シリアや(レバノンのシーア派民兵組織)ヒズボラに投じる資金も減少している」との見方を示した。トランプ政権は11月上旬、石油の禁輸を含む対イラン制裁に踏み切る。イドリブの戦闘はイランがシリアやレバノンなど海外への影響力をどの程度、維持し得るかの試金石にもなりそうだ。(カイロ 佐藤貴生)