イタリア ポピュリズム政権100日 来年の予算編成 ばらまき公約撤回せず 国債市場は乱高下

 
8月14日、イタリアのジェノバで発生した高架橋の崩落現場を訪れたコンテ首相(中央)=AP

 【パリ=三井美奈】イタリアのポピュリズム(大衆迎合主義)2党が連立するコンテ政権は8日、100日を迎える。来年の予算編成では財源不足なのにばらまき公約を強行する構えで、国債市場を乱高下させている。

 8月半ば、ジェノバで崩落した高架橋は現在もそのまま残る。この事故では43人が死亡。崩壊が進む危険から周辺住民は強制避難させられたが、建て替え計画は全く進んでいない。連立与党は、予算配分をめぐり立ち往生している。

 第一与党「五つ星運動」のディマイオ副首相兼経済発展・労働相は、高架橋を走る高速道路の国有化を提唱。さらに、今月2日には記者会見で「最低所得保障は来年始めねばならない」と、看板公約の実行を明言した。働かなくても1人当たり月780ユーロ(約10万円)を支給する公約は、3月の総選挙で五つ星が掲げた貧困層支援策の目玉だった。

 第二与党「同盟」のサルビーニ副首相兼内相も、公約の大幅減税について、「国民との約束は守る」と断固実行する構えだ。

 財源拡大のあてはないまま、ばらまき公約に加え、交通部門で巨額の出費。財政赤字が拡大するとの懸念から、イタリアの10年物国債利回りは8月末に3%を超えた。

 欧州系格付け会社のフィッチ・レーティングスは先週、財政懸念を理由に同国の格付け見通しを「安定的」から「弱含み」に引き下げた。

 するとサルビーニ氏は今週になってメディアで「財政赤字は国内総生産(GDP)比3%を超えることはない」と発言し、軌道修正を図った。「財政赤字はGDPの3%以下」という欧州連合(EU)の財政規律は守ると再確認し、信頼回復を狙った。一方で、ばらまき公約をどう財政規律に適応させるかの具体案は示していない。

 政府は来月中に、来年の予算案をEU欧州委員会に示す必要があるが、一貫性のない発言を繰り返し、市場を混乱させるばかり。イタリアの債務残高はGDP比130%を超え、EUではギリシャに次ぐ規模。財政不安は、復調している欧州経済に冷や水を浴びせかねない。