匿名の高官が米紙に大統領批判の寄稿 「政権内部にレジスタンス」

トランプ政権
連邦議会の議員と話すドナルド・トランプ米大統領=5日、米ワシントンのホワイトハウス・ルーズベルトルーム(ロイター)

 【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は5日、「私はトランプ政権内部のレジスタンス(地下抵抗勢力)の一員だ」と題する、匿名の政権高官によるトランプ大統領批判の寄稿を発表した。寄稿は、トランプ氏の資質を疑問視する閣僚らが、職務遂行能力を欠いた大統領を退任させられると規定した合衆国憲法修正25条の適用を一時検討していたことを明かした。

 同紙が筆者の実名を示さずに寄稿を掲載するのは異例。寄稿は、トランプ氏が「米共和制の健全性を阻害する行為を重ねている」とし、政権高官の多くが同氏による「見当違いの衝動的行為」の阻止に努め、「米民主制度の保全に全力を挙げている」と訴えた。

 また、トランプ氏が共和党候補として大統領に当選したにもかかわらず、保守派にはほど遠く、自由な報道を敵視し、「反自由貿易」で「反民主主義」だと批判。政権は規制緩和や税制改革、軍事力強化などで実績を上げたものの、それらは「気性が激しく敵対的で、効果の上がらない」同氏の統率姿勢から生まれたものではないと断じた。

 トランプ氏はむしろ、十分な検討や情報なしに性急な決断を下して後に撤回したり、重要な政策決定を1週間で覆したりするため、政権高官の大半は大統領の気まぐれに巻き込まれないよう、自身の職務遂行状況を同氏に知らせないようになっていると指摘した。

 この結果、例えば、外交政策ではトランプ氏がロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長などの権威主義的指導者に接近し、同盟諸国を軽視するのとは裏腹に、政権高官らはトランプ氏の意向と無関係にロシアに対して制裁圧力を強めていくといった、「二重大統領制」が出現していると説明した。

 情緒が安定しないトランプ氏に対して高官らは政権発足当初、修正25条の適用を水面下で検討したものの、同条の適用は史上初となるため「憲法上の危機」を招くのは必至として、同氏の退任まで政権を正しい方向に導く形で支えることで一致したとしている。

 これに対しトランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「匿名の寄稿とは卑怯(ひきょう)だ。メディアは不誠実だ」などと述べ、逆に同紙を攻撃した。

 同紙は高官の名前を伏せた理由について「明かせば職務を危機に陥れるため」と説明している。