露、シリア反体制派拠点を空爆 米も軍事攻撃示唆で緊迫 - 産経ニュース

露、シリア反体制派拠点を空爆 米も軍事攻撃示唆で緊迫

 【モスクワ=小野田雄一、カイロ=佐藤貴生、ワシントン=黒瀬悦成】シリア内戦でアサド政権側を支援しているロシア軍は4日、反体制派武装勢力の最後の拠点である北西部イドリブ県で約3週間ぶりに空爆を行った。政権側による大規模攻撃が間近に迫ったとの観測が強まる中、米露間でも駆け引きが活発化。内戦に関与するロシア、イラン、トルコの首脳は7日、イドリブ情勢をめぐり協議する見通しで、事態は緊迫の度を増している。
 露独立系ニュースサイト「ガゼータRU」によると、ロシア軍の3~10機の戦闘機が10回以上の爆撃などを行った。今年最大の攻撃だったとしており、大規模な戦闘を見据えた作戦だった可能性がある。
 米ホワイトハウスは4日、「アサド大統領が化学兵器を再び使用した場合は、米国と同盟諸国は迅速かつ適切な対抗措置を取る」と警告する声明を発表し、軍事攻撃に踏み切る可能性を示唆した。一方、ラブロフ露外相は4日、「イドリブには数万のテロリストがいる」と述べ、アサド政権側の攻撃を支援する姿勢を重ねて示唆した。
 ロシアにとってシリアは中東で屈指の友好国で、アサド政権の存続は外交・軍事戦略上の重要目標だ。2015年にロシアが内戦に介入した後、劣勢だった政権軍はロシアの空爆支援で勢いを取り戻し、国土の6割を支配するともいわれる。ロシアはシリア西部タルトスの海軍基地に加え、内戦を通じて北西部ラタキア近郊のヘメイミーム空軍基地の使用権も獲得した。
 アサド政権の存続は既成事実となりつつあり、一定の成果を得たロシアは内戦長期化による戦費増大や兵力損失を避けたい考えだといわれる。イドリブの戦闘に加わる方針を示す一方で、米国などに対し、巨額の負担が予想される内戦後のシリア復興を共同で行うよう提案したとの報道もある。
 イドリブには数万人の反体制派武装勢力が割拠しているとされ、大規模な戦闘が長期にわたり展開される恐れが強い。イドリブと国境を接するトルコは難民を受け入れない態度を示しており、逃げ場のない住民が多数発生するとの懸念が強まっている。戦闘にはアサド政権を支援するイランも加わる見通しで、関係諸国の調整がつかないまま大規模戦闘が始まれば、「(内戦では)未曽有の人道的な緊急事態」(国連当局者)が起きるとの指摘もある。