陳水扁氏が政治活動再開なら中台関係変化

 
インタビューに答える陳水扁氏

 2日午後、高雄市中心部にあるマンションの集会所に、つえをついてゆっくりとした足取りで姿を見せた陳水扁氏。衰えは隠せないが、話題が「台湾の未来」になった途端、言葉に熱が入り、総統時代の力強い演説を彷彿とさせた。

 2015年に病気療養で仮釈放された際、当時の中国国民党政権から「政治活動は認めない」などとさまざまな制限をつけられた。翌年、政権交代が実現したが、民主進歩党内で陳氏をライバル視する蔡英文総統は、中南部と貧困層の間で高い人気を誇る陳氏が表舞台に出ることを警戒し、恩赦手続きをしなかった。

 だが最近、習近平政権の台湾に対する高圧的な姿勢に、ほとんど対策を取らない蔡政権へ嫌気がさす民進党支持者の間で、陳氏の政界復帰を求める声が高まっている。陳氏もそれに応えるような形で、自身の愛犬の名前を冠したブログで政策提言するなど、徐々に活動を再開。蔡政権もこれを黙認せざるを得なくなった。

 今回、約10年ぶりにメディアのインタビューに応じたが、「直接取材を受けない」という司法当局の制限に配慮し、複数の在日台湾人団体の幹部を交えた懇談会という形で行われた。

 学者から官僚に転じた優等生タイプの蔡氏と違い、若い時から民主化運動に身を投じ、何度も投獄された経験を持つ陳氏は、中国と対決することを恐れない。陳氏が今後、本格的に政治活動を再開すれば、中台関係や北東アジア情勢が大きく変化する可能性もある。(矢板明夫)