米支援停止でパキスタン窮地 決定に反発もタリバンとの関係遮断困難 - 産経ニュース

米支援停止でパキスタン窮地 決定に反発もタリバンとの関係遮断困難

デビッド・ホール駐パキスタン米大使(右)と会談するイムラン・カーン首相(左)=24日、イスラマバードの首相官邸(AP)
 【ニューデリー=森浩】米国が決定した3億ドル(約334億円)の軍事支援停止を受け、パキスタンのカーン政権が対応に苦慮している。支援打ち切りに反発する一方、米国が求めるアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンとの関係遮断は、国内で強い影響力を持つ軍の意向もあり簡単ではない。経済状態が急速に悪化し、米国との対立は避けたい局面の中、カーン首相のかじ取りが注目される。
 「私たちは対テロ戦で大きな犠牲を払った。3億ドルは平和と安定を創出するという共通目的のためにパキスタンが支出したものだ」
 パキスタンのクレシ外相は2日、記者団を前に支援取り消しについて不満を表明。5日のポンペオ米国務長官のパキスタン訪問時に議題にすることを明らかにした。同時にクレシ氏は「パキスタンは2国間関係の発展に努力する。ポンペオ氏の意見にも当然耳を傾ける」とも発言。米国との良好な関係を望む姿勢を強調している。
 パキスタンは2014年、当時のシャリフ政権が、発足時に掲げたイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動」(TTP)との対話路線からテロ掃討へ方針転換した。だが、アフガンで跋扈(ばっこ)するタリバン内の最強硬派ハッカニ・ネットワークなどについては、米国はパキスタン軍が秘密裏に支援していると繰り返し批判。パキスタンは同グループに隠れ家を与えているとされる。
 パキスタン軍は、宿敵インドに対抗してアフガン国内で足場を作るために、タリバンを育て、支援してきた。軍の支援を得て7月の総選挙で勝利したとされるカーン氏は、軍の意向を無視できない。
 一方、外貨準備高が急減し、国際通貨基金(IMF)への援助要請が議論される中、IMFを主導する米国との関係を悪化させたくない状況だ。既にポンペオ氏は、IMFのパキスタン支援に懸念を表明している。
 パキスタンの政治評論家のハサン・リビ氏は「米国は明確なテロ対策強化を求めており、曖昧な対応では米国を刺激しかねない」と分析。5日のカーン氏とポンペオ氏との会談の行方を注視している。
 一方、タリバンは4日、ハッカニ・ネットワークの創設者であるジャラルディン・ハッカニ指導者が死亡したと発表した。長年療養中で、実権は既に息子に移っていることから、同グループに与える影響は限定的とみられる。