太平洋諸島フォーラム開幕 中国巨額援助の「債務の罠」に危機感

 

 【台北=田中靖人】オセアニアの地域協力機構「太平洋諸島フォーラム(PIF)」の年次総会が3日、太平洋の島国ナウルで始まった。太平洋諸国は中国からの巨大経済圏構想「一帯一路」などを通じた巨額の援助で「債務のわな」に陥る危険性が指摘されており、4日の首脳会合では債務免除要請が議題となる可能性がある。一方、台湾は外交関係のある国の3分の1がこの地域に集中し、中国に対抗して現地で存在感の維持に努めている。

 オーストラリアのローウィ国際政策研究所によると、中国が2011年以降、太平洋諸国に援助した総額は低利融資を含め約12億6千万ドル(約1400億円)。豪州に次ぐ2位で、ニュージーランドを上回る。公約ベースでは59億ドル(約6500億円)に上り、地域全体への援助公約額の3分の1を占める。

 ロイター通信によると、トンガでは対外債務の約60%、バヌアツでは約半分が中国に由来する。世界銀行の幹部は同通信に、太平洋諸国の債務は「継続的に返済できる限界に近づいている」と指摘している。

 こうした批判に対し、中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は8月30日、中国による「債務のわな」の指摘は「西側メディアの誇張だ」と反論。「中国の融資は被援助国政府と人民の熱烈な歓迎を受けている」と強調した。

 トンガのポヒバ首相は8月中旬、ロイター通信の取材に対し、PIFの首脳会合で、太平洋諸国が一致して中国に債務免除を求める計画があると明かした。だが、その直後に「債務問題は各政府が個別に解決策を模索すべきだ」と発言を翻した。中国の圧力が原因の可能性がある。

 一方、台湾の外交部(外務省に相当)は3日、呉●(=刊の干を金に)燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相)がナウルを2日から訪問しており、PIF加盟国・地域代表との「対話会議」に出席すると発表した。人材育成支援などについて協議する見通し。台湾は1993年以降、「発展パートナー」として関連会合に出席している。

 台湾は外交関係のある17カ国のうち、6カ国がPIF加盟国。中国による外交関係国の切り崩しが進む中、足固めを図っている。