米の“代役”で対中輸出増を狙うインド 貿易戦争に乗じ赤字圧縮の思惑

 

 【ニューデリー=森浩】米国と中国の間で貿易摩擦が続く中、インドが中国への輸出増加を狙っている。中国が発表した米国に対する報復関税の対象品目について、インドが米国の代わりに対中輸出を担おうというものだ。現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に反発するインドだが、中国に対し巨額の貿易赤字を抱えており、米中貿易戦争に乗じて赤字を圧縮したい思惑がある。

 印英字紙、エコノミック・タイムズなどによると、インド商工省は8月末までに中国が報復関税を課すことを発表した米国製品について調査し、トウモロコシ、アーモンド、小麦など100品目以上で、インドが米国の“代役”を務められると判断した。特にブドウや乾燥タバコなど約40品目は、これまでも中国向けの輸出が実施されているため、「増加の余地がある」としている。インド側は既に在印中国大使館を通じて、輸出増加に向けた協議を打診しており、今後具体的な話し合いが行われるもようだ。

 インドには、常態化している中国との貿易赤字を一刻も早く縮小させたい思惑がある。4月の中印首脳会談以降、中国との関係改善を急いでいるが、貿易不均衡の解消がその理由の一つになっている。

 インドは昨年度、中国に対して630億ドル(約7兆円)の貿易赤字を計上した。この10年で電子機器を中心として輸入額は増加する一方、輸出額は目立った伸びを見せていない。赤字はルピー安・人民元高という流れの中ですら増大しており、インド国内のアナリストは「解消は容易ではない」との見方で一致する。

 中国政府は米国との制裁合戦を受け、インドなど数カ国の大豆の関税を7月1日付で撤廃。米国以外からの輸入を拡大する姿勢を見せている。