国連の慰安婦問題勧告、委員会の仕組みは? 勧告が行われた背景は?

 
記者会見する国連人種差別撤廃委員会の対日審査担当、ボシュイ委員(左端)ら=30日、ジュネーブ(共同)

 国連の人種差別撤廃委員会は30日、慰安婦問題をめぐって日本政府に「被害者中心のアプローチによる恒久的な解決」を勧告した。委員会の仕組みや勧告が行われた背景などについてQ&Aでまとめた。

 Q 国連の人種差別撤廃委員会とは何か

 A 1969年に発効した人種差別撤廃条約で設置を定めた機関。委員会は条約の実施状況について、加盟国ごとに審査・勧告を行う。日本は95年に条約に加盟し、審査・勧告を受けるのは今回で4度目。勧告に拘束力はない。

 Q 委員はどう決まるか

 A 委員は18人で、条約加盟国が選出する。選挙では地域配分が考慮される。日本からは昨年、南山大(名古屋市)の洪(こう)恵子教授が初選出された。中韓も各1人委員を出す。委員は原則として、出身国の審査論議に加わらない。

 Q なぜ慰安婦問題で勧告を行うのか

 A 委員は個人の資格で職務に就く。勧告の基になる各国審査は、委員と政府代表による質疑応答形式のため、委員の関心や信条に大きく左右されるのが現状。今回、積極的に発言した韓国出身の鄭鎮星(チョン・ジンソン)委員はソウル大教授で、元慰安婦支援を行う「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」の共同代表だった。170以上の条約加盟国について委員会が実態把握するのは事実上困難で、情報収集は非政府団体(NGO)に大きく依存する。

 Q これまでの勧告は

 A 慰安婦問題は2010年までの対日審査には盛られておらず、14年に初めて勧告が明記された。この時は(1)人権侵害の責任者を裁判にかける(2)元慰安婦や家族への謝罪・補償-を要求した。今回の勧告は、日本政府に被害者中心の「恒久的解決」を進め、委員会に元慰安婦への対応を報告するよう求めた。このため、慰安婦問題は今後も審査課題として残る。

 Q 国連の人権外交とは

 A ジュネーブには加盟国で構成する人権理事会のほか、人種差別撤廃委員会のように人権条約ごとに九つの関連委員会があり、それぞれ審査・勧告を行う。(パリ 三井美奈)