ロシア相次ぎ大規模演習へ シリア近海・極東にも巨大兵力…米を牽制、国威発揚狙いか - 産経ニュース

ロシア相次ぎ大規模演習へ シリア近海・極東にも巨大兵力…米を牽制、国威発揚狙いか

21日、モスクワで開催された国際軍事技術フォーラムで展示されたロシア製の銃。ロシアは近年、軍事演習や兵器の開発を進めている(ロイター)
 【モスクワ=小野田雄一】ロシアは9月、近年としては異例となる大規模な軍事演習を相次いで実施する。中東では、自らが内戦に介入しているシリアの近海で演習を行うと発表。2015年の軍事介入以来、最大規模の戦力が集められる見通しだ。極東地域でも、演習「ボストーク2018」が過去40年間で最大規模で実施される。背景には、国際情勢をめぐって対立する米国を牽制(けんせい)する思惑や、経済低迷などで揺らぐ政権基盤を国威発揚によって立て直そうとする意図が透けて見える。
イドリブ攻撃に関係?
 国営タス通信によると、ロシア国防省は8月30日、9月1日~8日の日程で、シリア近海の地中海で軍事演習を行うと明らかにした。演習には潜水艦を含む戦闘艦26隻のほか、戦闘機や爆撃機など約30機が参加する見通しだ。
 シリア内戦では現在、ロシアが支持するアサド政権側が優位を築き、反体制派の拠点は北西部イドリブ県を残すのみとなっている。近くアサド政権によるイドリブへの総攻撃が行われるとの観測もある。
 ロシアは「演習とイドリブの状況は無関係だ」としているものの、演習を通して地中海地域への展開能力を誇示する思惑や、米国によるアサド政権への事前攻撃を牽制する狙いがあるとみられる。
 ロシアの軍事情勢を研究している小泉悠・未来工学研究所特別研究員は「巡航ミサイル搭載艦も演習に加わる以上、演習がイドリブ攻撃の支援に関わっている可能性は大きい」と指摘した。
日本の懸念聞かず
 一方、11日からは極東やシベリア地方での定例軍事演習「ボストーク」も始まる。15日まで行われる今年の演習には、中国軍とモンゴル軍も参加。約30万人の兵力と1千機以上の航空戦力が訓練を行う。タス通信によると、ショイグ露国防相は「1981年以来、最大規模となる」と語った。
 ただ、11日には極東ウラジオストクで、ロシアへの投資の促進などを図る「東方経済フォーラム」も始まり、期間中にはプーチン大統領と日本の安倍晋三首相の会談も予定されている。両国間には北方領土や平和条約締結の問題が横たわり、日本側は演習の大規模化が会談に影響を与える懸念を伝えてきた。しかし、ロシア側は「立場が違う」との姿勢を示しているという。
 ボストークの大規模化について、小泉氏は「(北朝鮮問題などでアジアで存在感を高めている)米国に向けて中露接近をアピールする狙いのほか、日本に強硬な態度を示そうとした可能性もある」と分析した。