苦境に立たされるアフガン大統領 主要4閣僚相次ぎ辞表、タリバン攻勢、米国も「失望感」… - 産経ニュース

苦境に立たされるアフガン大統領 主要4閣僚相次ぎ辞表、タリバン攻勢、米国も「失望感」…

今月12日、アフガニスタン・ガズニ州で警戒に当たる治安要員ら。アフガンではタリバンによるテロが相次いでいる(AP)
 【ニューデリー=森浩】10月に総選挙、来年4月に大統領選を控えるアフガニスタンで、閣僚の辞意表明が相次ぎ、政治情勢が不安定化している。米国もガニ大統領に失望感を深めているとされ、ガニ氏の求心力低下がささやかれる事態だ。治安状況も改善の兆しがなく、「内憂外患」を抱える中、選挙の順調な実施が不安視されている。
 ロイター通信などによると、アフガンでは27日までにアトマル大統領顧問(安全保障担当)や国防相、内務相、国家保安局長ら治安を担当する4閣僚が相次いで辞表を提出した。アトマル氏は受理されたが、他の3人は慰留されている。
 アトマル氏は元内相で、政権内の事実上ナンバー2に当たる有力者。ガニ氏と意見対立があるとされるほか、大統領選の出馬も取り沙汰される。
 主要閣僚の辞意で、指摘されるのがガニ氏の求心力低下だ。イスラム原理主義勢力タリバンとの和平交渉も進まず、ガニ氏は21日からのイスラム教の犠牲祭に合わせて停戦を呼びかけたが、タリバン側は拒絶。メンツをつぶされた格好だ。
 政府軍は米軍や北大西洋条約機構(NATO)軍の支援を得て武装勢力側に攻撃を仕掛けてはいるが、劣勢が続いており、士気の低下も著しいという。
 ガニ氏に対して米国は失望感を募らせているとされ、7月下旬にはタリバンと独自に接触した。「米国はガニ政権を見捨てはしないだろうが、見限りつつあるのかもしれない」(外交筋)との見方もある。来年の大統領選で、米国は再選を目指すガニ氏よりも、アトマル氏を推すとうわさされており、さらに政局は混迷の度を増しそうだ。
 隣国パキスタンでイムラン・カーン首相が誕生したこともガニ氏の懸念材料だ。カーン政権では、タリバンを支援しているとされるパキスタン軍が強い影響力を持つ。軍はアフガンを不安定化させるためタリバン支援を強化したい意向で、カーン氏は黙認する可能性が高い。アフガン側ではカーン氏を「タリバン・カーン」と揶揄(やゆ)する報道もなされており、パキスタンの動向に神経をとがらせる。
 政治や外交に不安を抱える中、21日には大統領府周辺にロケット弾が撃ち込まれるなど、テロが続発する。選挙日程にも影響を与えそうで、既に9日にタリバンの大規模攻勢を受けた南東部ガズニ州では、総選挙の延期が検討されている。有権者登録施設を狙う攻撃も相次いでおり、ガニ氏の苦悩は続きそうだ。