米中対立もにらんだ対応迫られる北 トランプ氏の「近いうち再会」言及には安堵?

激動・朝鮮半島
24日、米オハイオ州コロンバスで演説するドナルド・トランプ米大統領(AP)

 【ソウル=名村隆寛】トランプ米大統領がポンペオ国務長官の訪朝中止を決めたことで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は米国の要求に応じた非核化への努力再開か、反発継続かの選択に迫られている。

 金正恩氏は6月の米朝首脳会談で「朝鮮半島の完全非核化」を確約した。だが、北朝鮮はその後も核・ミサイル開発をやめていない。一方で核放棄を求める米国に対し、朝鮮戦争の終戦宣言や体制保証を求め、強く反発し続けている。

 トランプ氏が5月にいったん表明した米朝首脳会談の中止宣言の再現のようではあるが、金正恩氏にとって救いは、トランプ氏が「近いうちの再会」にも言及し2回目の米朝首脳会談への意思を示したことだ。北朝鮮の対応次第で米国側はいつでも会うという。

 トランプ氏が北朝鮮との対話を完全に放棄していない一方、金正恩氏にとり頭が痛いのは、対北制裁をめぐってトランプ氏が「非協力的だ」と非難した中国の存在だろう。米朝接近のかたわら中朝は、金正恩氏が3月の初訪中以降、今年すでに3回も訪中し習近平国家主席と会談するなど、関係を改善し深めている。

 北朝鮮の9月9日の建国70年の記念日に習氏が訪朝することが取り沙汰される中、米中対立の余波をも受けたかたちの金正恩氏は、中国という後ろ盾かつ圧力のもとで、米国への対応を迫られている。

 ポンペオ氏の次の訪朝が「米中の貿易関係が改善した後」(トランプ氏)になったことで、米朝関係は北朝鮮の非核化に向けた相当の歩み寄りがない限り、当面は溝が深まったままの状況が続くものとみられる。ただ、水面下の接触で北朝鮮が米国の不満解消を図る可能性も否定できない。