台湾の慰安婦像、日本側が国民党に撤去要求か 馬英九前総統とも会談

歴史戦
14日、台湾南部・台南市で、除幕された慰安婦像を見上げる馬英九前総統(田中靖人撮影)

 【台北=田中靖人】台湾南部・台南市に台湾初の「慰安婦像」が設置された問題で、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会の沼田幹男台北事務所代表(駐台大使に相当)が、設置を主導した野党、中国国民党の呉(ご)敦義(とんぎ)主席に像について「適切な対応」を求めていたことが17日、分かった。沼田氏が記者団に明らかにした。

 沼田氏は16日、台北市の国民党本部に呉氏を訪ね、アジア女性基金など慰安婦問題での日本の取り組みを説明。像の設置は「日本の立場と相いれず極めて残念だ」と述べ、像や碑文について「適切な対応」を求めた。また、15日には14日の除幕式に出席した馬英九前総統とも会談し、同様の内容を伝えたという。

 国民党の洪(こう)孟楷(もうかい)報道官によると、これに対し、呉氏は「日本政府は過去の歴史を正視すべきだ」と述べ、像の撤去は「不可能だ」と拒否した。馬氏も改めて謝罪と賠償を要求した。

 像の設置者は事実上、国民党の台南市支部で、像は支部の敷地内に設置された。

 16日には同党の台北市長選候補者が台南を訪れて像に花を手向け、フェイスブックに「台北にも慰安婦像を建てる」と書き込むなど、国民党は11月の統一地方選に向けた政治利用の動きを強めている。

 一方、民主進歩党の蔡英文政権は、公式には「問題を重視し、日本と協議を続ける」(外交部)との立場だが、像の設置には「政府は全く関与していない」と強調し、距離を取っている。