27日に休戦協定65年…米兵遺骨は返還されるか 金正恩氏は軍工場視察に邁進

激動・朝鮮半島
ポンペオ米国務長官(左)と金正恩朝鮮労働党委員長(AP)

 【ソウル=桜井紀雄、ワシントン=黒瀬悦成】朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定締結から27日で65年を迎える。米国と北朝鮮は6月の首脳会談で合意した朝鮮戦争で戦死した米兵の遺骨返還に向けて準備を進めており、27日に合わせた返還が実現するかどうかが、米朝の“信頼醸成”の度合いを測る試金石となりそうだ。

 韓国外交筋は26日、北朝鮮が遺骨を納めるための木箱を受け取ったと明らかにした。米側が6月に軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)に送りながら、北朝鮮が受け取らずに保管されてきた約100個の一部だ。

 韓国の聯合ニュースによると、北朝鮮は、米兵のものと推定される遺骨約200柱から動物の骨などを取り除く作業を行ってきたとされ、一部が北朝鮮東部、元山(ウォンサン)の葛麻(カルマ)空港から米軍輸送機でソウル南方の米空軍烏山(オサン)基地に運ばれる見通し。米軍が遺骨移送のために輸送機を北朝鮮に派遣すれば、初となる。順調なら来月1日にも米ハワイに送られるとみられている。

 北朝鮮との交渉に当たってきたポンペオ米国務長官は25日、「北朝鮮が遺骨返還を改めて確約した」と明らかにし、この問題で北朝鮮が「協力的だ」と指摘したものの、返還の具体的な日程には言及しなかった。

 韓国では、北朝鮮が27日に合わせて遺骨を返還することで、信頼醸成を演出するとの見方が強いが、北朝鮮が強く求める朝鮮戦争の終戦宣言のめどが立たない中、返還を先送りする可能性も残されている。

 平壌では、朝鮮戦争に参戦した元兵士らを招いた集会など、北朝鮮が「祖国解放戦争の勝利」と主張する27日の休戦65年を記念した行事が予定されている。現地からの報道では、経済の自立を呼び掛けるスローガンが街角に目立つが、米国への敵意をあおる文言は見当たらないという。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長については、元山周辺地域の食品工場などを視察する様子を北朝鮮国営メディアが26日まで3日連続で報じた。特に朝鮮人民軍傘下の工場で「栄養価の高い食品を軍人らに食べさせるべきだ」と設備の改良を指示するなど、兵士らに配慮する姿が強調して伝えられた。

 米国主導の制裁が維持される中、経済の「自力自強」を促すとともに、非核化など対米交渉の進展に伴って募りかねない軍部の不満をそらす狙いもあるとみられる。