【千夜一夜】夜11時半でもはしゃぐ子供たち サウジの長い夜 - 産経ニュース

【千夜一夜】夜11時半でもはしゃぐ子供たち サウジの長い夜

 「人に会いたいなら日中に街に出てもムダだよ。早くても午後6時ごろからでないと」。サウジアラビアで女性の車の運転が解禁されたため、取材しようと西部ジッダに出張した際、地元の役人が言った。
 「日中に人がいない街などあるわけがない」。そう考え、最近開発されたばかりだというウオーターフロントへと車を走らせた。
 彼が言ったことは本当だった。じりじりと照りつける日差しで気温は45度を超え、通りには人はおらず、店もほとんど閉まっていた。車を降りると紅海のねっとりと湿った熱風が体を覆い、眼鏡が曇った。
 というわけで、取材は比較的涼しい午前中と夜に絞らざるを得なくなった。首都リヤドで映画館と遊園地の複合施設に取材に行ったときには、夜11時半になっても子供たちが屋内ではしゃぎ、駐車場には車がひしめいていた。サウジの人々は宵っ張りなのだ。
 ジッダはイスラム教の聖地メッカとメディナにも近い。預言者ムハンマドが唯一神アッラーの啓示を受けたとされるのは7世紀だが、この一帯はそれ以前から商都としてにぎわっていたという。当時の人は日中、どう過ごしていたのだろう。冷房に慣れた身には想像もつかず、砂漠の民のたくましさを実感した。(佐藤貴生)