ロシア疑惑がトランプ外交に影

米露首脳会談
 16日、フィンランド・ヘルシンキで会談するトランプ米大統領(左)とロシアのプーチン大統領(ロイター)

 【ヘルシンキ=加納宏幸】ロシアの米大統領選干渉疑惑に関するモラー特別検察官の捜査はロシアの行為へのトランプ陣営の関与が最大の焦点だが、現時点で「共謀」の事実は出てきていない。ただ、16日の米露首脳会談に先立つ13日、モラー氏の捜査で露情報機関員12人が大統領選でのサイバー攻撃に関わっていたとして起訴されており、疑惑は米露関係の改善を目指すトランプ大統領の外交に影を落としている。

 トランプ氏はロシアのプーチン大統領と会うたびに同疑惑を取り上げ、ロシア側が否定することが繰り返されてきた。トランプ氏はプーチン氏を非難する以上に、オバマ前大統領が干渉疑惑について2016年11月の大統領選直前まで発表しなかったことを強く批判している。

 情報機関員の起訴を受け、トランプ氏は「トランプ政権ではなくオバマ前政権の時に起きたことだ。なぜ彼らは(サイバー攻撃に対して)何もしなかったのか」と批判した。

 起訴状によると、情報機関のロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の情報機関員は16年3月から民主党のクリントン元国務長官の大統領選陣営幹部のメールアカウントや民主党全国委員会のコンピューターネットワークへの侵入を開始し、同年6月から不正入手したメールの公表を開始していた。オバマ前政権が干渉疑惑について発表したのは同年10月だった。

 ロシアが、クリントン氏に不利になる情報を流してトランプ氏を後押しする工作に関わっていたことは現政権も認めており、今年3月には露西部サンクトペテルブルクを拠点にソーシャルメディアを通じて大統領選への干渉に関わったとされる「インターネット・リサーチ・エージェンシー」など計24団体・個人を制裁対象に加えた。

 ただ、トランプ氏は米露首脳会談前、米CBSテレビインタビューで、起訴された12人の身柄引き渡しを求めるか問われ、「考えていなかったが、(プーチン氏に)尋ねてみる」と答えており、真相究明への後ろ向きな姿勢が目立っている。