相次ぐ閣僚辞任、メイ政権の求心力低下で期限内合意に黄信号

英EU離脱

 【ロンドン=岡部伸、ブリュッセル=宮下日出男】英国のジョンソン外相が9日、欧州連合(EU)離脱後もEUと緊密な連携を図るとするメイ首相の方針に抗議し辞任したことは、政権にとり大きな痛手となった。メイ氏は同日、後任の外相に日本通で離脱問題では比較的穏健とされるハント保健・社会福祉相(51)を任命し立て直しを図るが、与党・保守党内のEU懐疑派にメイ氏への不信任投票実施を求める動きもあると伝えられており、EU側との事実上の合意期限である今年10月までに離脱協定をまとめられるかは、いっそう不透明となった。

 メイ政権では8日、EUとの交渉に当たってきたデービス離脱担当相も辞任。相次ぐ閣僚辞任についてEU欧州委員会の報道官は「英国側の問題」だとした上で、「メイ氏と交渉担当者と誠実に交渉を続ける」と述べ、改めて交渉を急ぐ必要性を強調した。

 ジョンソン氏らがメイ氏に反旗を翻している最大の理由は、英国が離脱後もEUルールを受け入れる仕組みにある。「離脱して主権を取り戻す」ことを目標にしてきたEU懐疑派の反発は根強く、一連の辞任劇で保守党内の強硬派が勢いづく可能性も取り沙汰されている。

 ジョンソン氏は辞表で、メイ政権が離脱に向けた穏健路線を示したことに、「われわれは(EUの)植民地の地位に向かっている。ブレグジットの夢はついえようとしている」と警告した。

 メイ氏は9日、議会で保守党議員と会い、離脱方針への支持を訴え、多くの議員がメイ氏を支持する姿勢を示したという。だが、重要閣僚の辞任で少数与党を率いる首相の求心力が低下し、政権基盤がさらに脆弱になったことは否めない。

 強硬派の議員からは「(EUとの)下手な合意より、決裂の方がまし。(メイ氏の方針は)まずい」と批判の声が上がる。英国内の混乱が続けばEUとの離脱交渉に影響が及ぶことは必至で、交渉が時間切れに終わり、英経済・社会が混乱に見舞われる可能性も指摘されている。