メキシコ大統領選まで1週間 新興左派候補リード 汚職、治安悪化、対米ナショナリズム背景に - 産経ニュース

メキシコ大統領選まで1週間 新興左派候補リード 汚職、治安悪化、対米ナショナリズム背景に

23日、メキシコ東部ベラクルスで開かれた選挙集会の会場に到着した大統領選候補、ロペス・オブラドール氏(AP)
 【ロサンゼルス=住井亨介】7月1日に投開票される中米メキシコの大統領選挙まで、24日で1週間となった。汚職や治安悪化に対応できない既成政党に対する国民の不満、移民問題などでメキシコを刺激するトランプ米大統領に触発されたナショナリズムを背景に、新興左派政党「国家再生運動(MORENA)」を率いるロペス・オブラドール元メキシコ市長(64)が選挙戦をリードしており、政権交代の可能性が高まっている。
低迷の与党
 現職ペニャニエト大統領の任期満了に伴う選挙戦には4人が立候補している。任期は12月1日から6年間。地元の選挙分析サイト「オラクルス」の世論調査(18日)によると、オブラドール氏が支持率50%で優位に立ち、中道右派の野党「国民行動党(PAN)」のリカルド・アナヤ前党首(39)が27%、中道右派の与党「制度的革命党(PRI)」のホセ・アントニオ・ミード前財務公債相(49)が20%で追いかける展開だ。
 1929年から71年間にわたって政権を維持したPRI(前身を含む)は、2000、06年の大統領選ではPANに敗れた。12年には政権の座を取り戻したものの、中南米を中心に広がるブラジル建設大手「オデブレヒト」による汚職スキャンダルが発覚、党幹部が公金横領の疑いで逮捕されるなど、イメージの悪さから人気は低迷する。
 政府と麻薬カルテルとの間で06年から続く「麻薬戦争」の激化によって治安が悪化。17年の殺人件数は約2万9200件で、比較ができる1997年以降の統計では最悪となった。
対話姿勢も
 オブラドール氏は、こうした国内情勢に手をこまねくPRI、PANに対して蓄積された国民の不満の受け皿となっていることに加え、国家による経済介入の拡大、年金増額や奨学金制度拡大といったポピュリズム(大衆迎合主義)的な政策で支持を集めている。
 選挙戦では、移民・貿易問題で厳しい方針を示すトランプ大統領によってナショナリズムがあおられ、各候補とも強い姿勢を示す。アナヤ氏は「国内麻薬組織の使う武器の80%は米国から来ている」と主要3候補のうち最も強硬で、トランプ政権への「弱腰」が追及されるペニャニエト氏の後継、ミード氏も「トランプ氏は勘違いすべきではない」と批判に乗り遅れないよう必死だ。
 優勢が伝えられるオブラドール氏は「外国のいいようにはされない」と対決する構えを見せつつ「米国とは対話を行い、正気を取り戻してもらわなければならない」とし、大統領選での勝利を見越して北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉などでは話し合いを継続する考えを示しており、硬軟入り交じった姿勢だ。