いらだつイラン、孤立回避へ中露と接近 核合意維持「カギは中国」

米朝首脳会談
 4月25日、イラン北西部タブリーズで演説するロウハニ大統領(ゲッティ=共同)

 米朝首脳会談で北朝鮮が「非核化」の意思を示したことをふまえ、同様に核問題で米国と対立するイランは孤立の回避に全力を挙げる方針とみられる。非核化の成否は不明ながら北朝鮮が対話に転じたことで、トランプ米政権がイランへの圧力を強める事態も否定できないからだ。識者からは、イラン経済に影響力を持つ中国の動きがカギを握るとの見方も出ている。

 「(米国が北朝鮮との)合意を取り消さないかは不透明だ」。イランでは米朝首脳会談が行われた12日、政府報道官がこう述べて北朝鮮に警告を発したのを除き、要人からのコメントは出ていない。イランの核開発を制限する見返りに制裁解除を進めるイラン核合意から一方的に離脱し、北朝鮮への対応とは際だった違いをみせるトランプ政権へのいらだちもほの見える。

 イランのロウハニ大統領は米朝首脳会談に先立つ6月上旬、中国で開かれた中露主導の上海協力機構(SCO)首脳会議に出席し、会談した習近平国家主席から「ロシアや他の国とともに核合意の維持に努める」との発言を引き出した。

 イランが中露と連携を模索するのは、米政権の制裁再開表明を受け、欧州などでイランとの取引に消極的なムードが広がっているからだ。同政権の対イラン制裁では、取引内容によって8月上旬までと11月上旬までの猶予期限が設けられており、その間に取引を中止しないと非米国企業も制裁対象となる。

 イランの政治評論家、レイラズ氏は産経新聞の電話取材に、米朝首脳会談を受けて「米国の圧力が強まり、イランがいっそう孤立する可能性はある」とした上で、中国の動向が大きな影響を持つと分析した。

 同氏は、イランと中国の貿易高は近年、急増して年間350億ドル(約3兆9千億円)前後に達しており、「中国がイランとの取引を継続すれば、欧州(の企業)を頼りにする必要性が減る」と指摘。中国からの投資がこれまで通り行われるかは「中国に対する米国の出方次第だ」と述べた。

 一方、米紙ニューヨーク・タイムズは15日付で、経済低迷に悩まされ、米国との対話を求めるイラン国民の声を紹介した。ただ、記事は同国の最高指導者、ハメネイ師がトランプ氏と会談することは、注意深く作り上げてきた反米のイメージを壊しかねないなどの障害があると伝えている。(カイロ 佐藤貴生)