中国、会談を歓迎も頭越しの関係改善に警戒

米朝首脳会談

 【北京=藤本欣也】中国の習近平政権は今回の米朝首脳会談について、「新たな歴史を創造するものだ」(王毅国務委員兼外相)と歓迎している。ただ、中国の頭越しに米朝の関係改善が進むことは何としても避けたいのが習氏の本音。3回目となる金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談を早急に行い、“後見役”として手綱を締める構えだ。

 王氏は12日、歓迎の意を示す一方、「朝鮮半島問題を解決するには全面的な非核化を実現するとともに、北朝鮮側の合理的な安全保障上の懸念も解決しなければならない」と主張した。

 中国が考える北朝鮮の安保上の懸念には、米韓合同軍事演習と在韓米軍の存在が含まれる。その中止と縮小は中国の国益となるものだ。

 北京大国際関係学院の陳峰君教授は中国メディアに、(1)在韓米軍(2)韓国に配備された米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」(3)米韓合同軍事演習-の存廃問題の扱いも「米朝首脳会談の成功を占うひとつのカギだ」と指摘している。

 こうした中、トランプ米大統領は米朝首脳会談後の記者会見で、米韓合同軍事演習の中止や在韓米軍の見直しの可能性に言及した。

 THAADをめぐっても韓国国内で反対運動が根強く、北朝鮮の非核化が進展すれば撤収される可能性が取り沙汰されている。

 また習政権は、中国以外の米・朝・韓国がシンガポールで朝鮮戦争の終戦宣言を行う動きを警戒していただけに、実現しなかったことは隠れた中国の外交成果といえる。北朝鮮側が中国の意向を受けて消極的姿勢を示した可能性が高い。

 今回の米朝首脳会談で異例だったのは、会談に参加しない中国が存在感を示したことだ。10日にシンガポール入りした金氏が搭乗していたのも、12日帰路に就く金氏が搭乗するとみられるのも中国の航空機である。老朽化した金氏の専用機に代わり、中国側が安全を提供した形だ。「非核化の道を選んだ北朝鮮が中国に安全を保証してもらうことを決断した象徴」(外交筋)との見方も出ている。