非核化協議に日本の参加を/詳細伴わない美辞麗句 米ランド研究所、ジェフリー・ホーナン研究員

南北首脳会談

 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による南北首脳会談は板門店宣言を出したが、多くの言葉をつらねているだけだ。過去にも非核化や朝鮮戦争の終戦といった約束はなされたが、実際の行動は取られていない。今回の合意に関しても、懐疑的にならざるをえない。

 宣言には「完全な非核化」が盛り込まれた。問題は「非核化」をどう定義づけるか。米国にとっては北朝鮮が核兵器保有をあきらめることで、北朝鮮にとっては米国に韓国への「核の傘」の提供をやめさせることだ。非核化という大げさな美辞麗句は快く響くが詳細を伴っていない。

 そこでトランプ大統領と金氏の米朝首脳会談が重要になる。米国としては非核化の履行、兵力態勢、演習、核兵器に関して決断する必要が出てくるだろう。米朝会談で考え得る結果は、外交関係を結ぶ協議を始めることではないか。

 日本人拉致問題は極めて心が痛む問題だが、文氏は安倍晋三首相に、南北会談で拉致問題を取り上げるとしながら板門店宣言には盛り込まれていない。トランプ氏も金氏と非核化や弾道ミサイルの問題で合意できそうになったとき、拉致問題を理由に席を立つとは想像できない。米朝会談で拉致問題が解決されるとは考えにくく、首相が金氏と会談する必要性が出てくることになるだろう。

 板門店宣言は南北米中の会談を推進するとしている。もしトランプ氏が米朝会談で拉致問題も中・短距離弾道ミサイル問題も議論しなければ日本の利益に直結することは扱われないことになる。非核化に当たり日本が資金提供を求められても、自国の利益に関わる問題が取り上げられないのなら断ることができる。非核化や人権問題の協議には日本の参加が必要だ。(聞き手 加納宏幸)