無難に終えた文在寅大統領 バトンを米国に

南北首脳会談

 【ソウル=名村隆寛】板門店宣言で金正恩朝鮮労働党委員長と「完全な非核化を通し核なき朝鮮半島を実現する共同の目標」を確認した韓国の文在寅大統領は、バトンを米国に渡す。

 文氏は首脳会談前の早い時期から米朝の仲介役になることを明言していた。板門店宣言の発表前には金正恩氏と30分以上にわたり屋外を散策し、途中から椅子に座って話し込んだ。随行者はなく、2人だけの会話内容は非公開だった。

 説得するような文氏に、金正恩氏は何度も真剣な表情でうなずいた。文氏が米国の意思など北朝鮮を取り巻く情勢を説明していた可能性が十分考えられる。

 ただ、南北首脳が完全な非核化を目指すことは想定内のことで、米国を十分納得させるものとはいえそうにない。文氏は首脳会談後、トランプ米大統領に金正恩氏との会談について報告。5月中旬には訪米し、トランプ氏との会談を経て米朝首脳会談の実現に結びつけたい考えだ。

 また、板門店宣言に盛り込まれた休戦協定を平和協定に転換するための南北米中の4者会談に向けても、文氏は仲介者として奔走することが予想される。

 何よりも、金正恩氏に「いつでも青瓦台(韓国大統領府)に行く」とまで言わせ「絆が深まった」という文氏は、金氏の信頼を維持しなければならない。

 板門店宣言に盛り込まれた、北朝鮮・開城への南北共同連絡事務所の開設、軍事会談や赤十字会談など、南北同士の問題は山積している。秋の平壌訪問に向けて文氏はこれらを履行することになり、対北政策だけでも忙殺されそうだ。

 文氏が無難に終えた南北首脳会談が、米朝首脳会談のおぜん立てになるかは米国の判断次第。文氏は金正恩氏に続き次はトランプ氏説得に全力を注ぐ構えだ。