【南北首脳会談】「米国が“乗る”か否か注目」 神戸大大学院教授の木村幹氏 - 産経ニュース

【南北首脳会談】「米国が“乗る”か否か注目」 神戸大大学院教授の木村幹氏

プレスセンターの大型モニターに映し出された、板門店宣言に署名し抱き合う北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)と韓国の文在寅大統領=27日、ソウル郊外(共同)
共同宣言に署名し、韓国の文在寅大統領(右)と抱擁する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=27日、板門店の韓国側施設「平和の家」(板門店共同映像取材団・共同)
 南北共同宣言は、韓国の文在寅大統領のセットアップ(おぜん立て)が見事に機能した内容となった。
 文氏は今回、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との初会談を控えるトランプ米大統領を念頭に、北朝鮮のイメージを変え、金委員長を「話のできる相手」と印象づけることを狙っていたとみられる。その点で共同宣言は、米国が反対する余地の少ないものとなった。
 もともと文氏には、米朝首脳会談につながる一連の外交をリードしてきた自負がある。今回の南北会談は、文氏が「ドライバーズシート(運転席)」から外されることなく、今後の米朝交渉に介在し続けることを認めさせるための場だったが、その狙いは十分に達せられたのではないか。
 一方、金委員長は今回の会談が、制裁解除への具体的な努力目標の設定につながればと考えたはずだ。そうすれば段階ごとに有効な交渉カードを切ることができるし、交渉が思うように進まずに再び核実験やミサイル発射を準備してみせるなどの瀬戸際外交を展開することになっても相手の出方が読みやすくなる。
 金委員長にとっての懸念は、今後の交渉で米国の譲歩を引き出せるかどうか。そのためには文氏をメッセンジャー役として介在させ、できればこの3者で交渉を進めたい。共同宣言には、この米朝韓3カ国か、そこに中国を加えた4カ国での協議の枠組みも明記されており、米国がそれに“乗る”か否かが今後の注目点だ。(聞き手 大内清)