【南北首脳会談】金正恩氏に韓国世論は? “意外な素顔”に「話ができる」と好感も、若い世代は冷めた目も - 産経ニュース

【南北首脳会談】金正恩氏に韓国世論は? “意外な素顔”に「話ができる」と好感も、若い世代は冷めた目も

軍事境界線上で握手する、韓国の文在寅大統領(右)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=27日午前、板門店(韓国共同写真記者団撮影)
南北軍事境界線を渡り北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)と握手する、韓国の文在寅大統領=27日午前、板門店(韓国共同写真記者団撮影)
 【ソウル=名村隆寛】板門店で韓国の文在寅大統領と手をつなぎ、軍事境界線の北側に一瞬招いた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。会談冒頭では、決められた取材時間が過ぎても撮影を続ける報道陣に「記者の皆さん、もう少しやりましょうか」と話しかけ場を笑いに包んだ。
 突然の予定変更や“サプライズ”で金大中、盧武鉉元大統領を翻弄した父の金正日総書記とは違うスタイルで、金正恩氏は韓国側を驚かせた。年上の金大中氏に傲岸不遜な態度を見せた父とは異なり、約束の時間通りに現れた。親子ほど年が離れた文氏への礼儀をわきまえ、冗談は機知に富み、余裕さえ感じさせた。
 金正恩氏が韓国側に与えた印象は「率直で面白く、話ができる」(金正恩氏と同い年の弟を持つ37歳の韓国人女性)といったところだ。父の金正日氏や、今年2月に初訪韓し笑顔の一方で相手を見下げるような表情を見せた妹の金与正氏とは違う。
 金正恩氏の言葉をうなずきながら聞く文氏は終始、満足そうで笑顔を絶やさなかった。過剰と思える融和の演出に余念がなかった韓国に対し、金正恩氏はその身一つで、少なくとも政府やメディアを大いに感動させたわけだ。
 南北首脳会談の前、韓国世論の7割以上が「歓迎」を示した。首脳同士が会うこと自体には問題ないということだ。会談後の世論調査でも肯定的な評価が予想される。今回の首脳会談もやはり、北(金正恩氏)の主導で展開した。
 ただ、金正恩氏の“意外な素顔”に好感は持ちつつも、南北統一に対する韓国内での期待は必ずしも高いとはいえない。平昌五輪への北朝鮮の参加をはじめ、南北合同の行事に対する韓国世論の目は、特に若い世代で冷めている。
 経済状況が芳しくない韓国で、若者の関心はいい職に就くことや豊かな暮らしをすることだ。彼らにとり北朝鮮や統一は面倒な「負担」でしかない。文在寅政権をさらに引き寄せた金正恩氏だが、韓国国民5千万人の関心を北に向かわせることは容易ではない。