演習常態化でプレゼンス強化 中国、米の“空白”突き台湾威圧

緊迫・南シナ海

 【北京=西見由章】中国軍は今月に入り、近海で演習を相次いで実施し、3日連続で爆撃機を台湾周辺に飛行させるなど軍事行動を活発化させている。「強国」「強軍」路線を掲げる習近平指導部が、「一つの中国」原則を認めない台湾の蔡英文政権を軍事的に威圧すると同時に、南シナ海などアジアにおける軍事戦略がいまだに定まらないトランプ米政権の“空白”を利用して周辺海域での軍事プレゼンス拡大を図っている側面もありそうだ。

 中国国防省によると、陸軍航空隊所属の攻撃ヘリ部隊が18日、昼夜にわたる実弾射撃訓練を実施。海上の模擬艦船などの目標に対してミサイルやロケット弾による攻撃を行った。場所は「東南沿海」としか言及していないが、台湾海峡での実施を公表していた演習の一部とみられる。

 さらに同省は19日、空軍の轟(H)6K爆撃機やスホイ30戦闘機、偵察機が宮古海峡を通過するなどして台湾の周囲を飛行する訓練を2日間にわたって実施したことを明らかにした。防衛省統合幕僚監部によると、中国の爆撃機2機は20日も同様の飛行を行った。

 いずれも蔡政権へのあからさまな圧力だが、台湾に接近するトランプ米政権への対応を“口実”に、軍事行動を拡大させている面もある。中国当局は特に強硬派のボルトン米大統領補佐官が訪台する動きを牽制しており、徐光裕退役少将は「もし米国が過ちを犯し続けるのであれば、さらなる軍事演習につながる可能性は否定できない」と環球時報(英語版)に語った。羅援・中国戦略文化促進会副会長も同紙に「演習は武力統一への準備だ」と寄稿し、軍事演習や飛行訓練の「常態化」を求めた。

 米軍は今年に入り、南シナ海で「航行の自由」作戦を少なくとも2回実施したが、中国は軍事拠点化を継続し、東南アジアの同盟国への影響力も低下したままだ。逆に中国側は同海域での大規模な軍事行動を既成事実化している。今月上旬から海南島沖で海軍史上最大規模の演習を展開し、12日には習近平国家主席(中央軍事委員会主席)による観艦式に中国初の空母「遼寧」を含む艦艇48隻、航空機76機が参加した。