北方領土の択捉空港を軍民共用に 露政令、空軍本格駐留への布石か

 

 【モスクワ=遠藤良介】ロシア政府は2日までに、同国が実効支配している北方領土・択捉島の民間空港を、今後は軍民共用とするよう命じる政令を出した。近年のロシアは北方領土の軍備を急速に増強させており、政令は、択捉島に本格的な空軍部隊を駐留させるための布石である可能性がある。北方領土交渉の障害となるのは必至だ。

 軍民共用とされるのは、2014年9月に開港した択捉空港。全長2300メートルの滑走路を持ち、中型ジェット機が離発着できる。

 同空港は、戦前の日本が建設したブレベスニク(天寧)空港で濃霧が多発することなどを受けて建設され、北方領土を事実上管轄するサハリン(樺太)州の州都ユジノサハリンスクとの定期便が就航している。昨年9月、元島民らの初の空路墓参でも利用された。

 北方領土の択捉、国後両島には推定約3500人の将兵が駐留。陸軍の第18機関銃・砲兵師団が中心で、地対艦ミサイルを担当する海軍の分遣隊や、空軍のヘリコプター部隊の要員も含まれている。露メディアは択捉空港の軍民共用化について、空軍が拠点を置くための動きだと伝えている。

 北方領土にはソ連時代、最大で約2万人の将兵が駐留し、択捉島には20機以上の最新鋭ミグ戦闘機が常駐していた。1991年のソ連崩壊後は、守備機能だけを残して部隊・兵員を大幅に削減した経緯がある。

 しかし、近年のロシアは再び北方領土の軍備増強に動いており、択捉、国後両島では新駐屯地の建設が進められている。2016年11月には、択捉に最大射程300キロの地対艦ミサイル「バスチオン」、国後に射程130キロの地対艦ミサイル「バル」が配備されたことが明らかになった。

 ロシアは、千島列島中部のマトゥア島(松輪島)に海軍基地を建設する方針で、準備作業を本格化させてもいる。