交渉後半戦スタートへ、焦点は「通商関係」 EUは英の“いいとこ取り”警戒

英EU離脱

 【ベルリン=宮下日出男】英国の欧州連合(EU)離脱交渉は近く将来の関係に関する協議に入る。離脱条件をめぐる「第1段階」にメドをつけた交渉の後半戦で、最大の焦点となるのは通商関係。互いに重要な利益にかかわるだけに2019年3月末の期限をにらみつつ、交渉が険しさを増すのは必至だ。

 最初の課題は離脱後に激変緩和のために設ける移行期間。月内にも交渉が始まる見通しだ。EUは英国が拠出を約束するEU中期予算の区切りにあわせ、「20年末」までの1年9カ月とする姿勢だが、英側は「2年程度」を想定しており、すりあわせが必要だ。

 英国は期間中、単一市場と関税同盟に残る方向。EUは英国に意思決定への参加を原則認めない一方、EUの規則や司法を適用する考えで、英側の離脱強硬派が納得するかが懸念もされる。将来協議の時間を確保するためにも移行期間での迅速な合意が重要となる。

 将来協議はEUが新たな指針を決める3月以降。英側は単一市場と関税同盟から出るため、通商では98%の関税を撤廃し、市場開放度の高いEUとカナダとの自由貿易協定(FTA)などがモデルに挙がる。大きな争点に上るのは、英側が主要産業の金融などサービス分野で市場アクセスをどれだけ確保できるかだ。

 単一市場の人、モノ、資金、サービスの4つの自由移動は不可分とするEUは英国の「いいとこ取り」を警戒。バルニエ首席交渉官がカナダを含め金融で優遇した協定はないと牽制すると、「オーダーメード」の特別な関係を目指す英側は交渉分野を限定するEUを「いいとこ取り」とし、すでに主張がかみ合わない。

 双方は安全保障などの協力も協議し、離脱時に将来関係の大枠を「政治宣言」にまとめる方針。内容が不十分では移行期間での具体的な議論も一段と難しくなる。FTAの協議には5年以上必要ともされるなか、「円滑な離脱」が実現するかはなお予断できない。