米3空母、「朝鮮戦争以来」の半島周辺集結 北朝鮮に威力誇示

朝鮮半島情勢
上から米空母ニミッツ(米海軍提供)、米空母セオドア・ルーズベルト(米海軍提供)、米空母ロナルド・レーガン

 米空母3隻が朝鮮半島周辺に集結するのは「朝鮮戦争(1950~53年)以来」(韓国メディア)とされる異例の事態だ。過去の事例との比較から、展開される空母の数は事態の変化を見極める重要な指標の一つとなっている。北朝鮮側は「情勢を最悪の爆発ラインに追い込んでいる」などと強く反発している。

 米軍は現在、空母11隻を保有するが、水上戦闘艦や潜水艦などとともに構成される空母打撃群の同時展開が可能なのは、最大4~5隻程度とされる。その過半数が集結する事態について韓国紙中央日報(電子版)は軍関係者の話として「極めて異例」と指摘した。

 北朝鮮の核・ミサイル開発に伴う米朝間の緊張が最も高まった今年3~4月。軍事衝突の可能性に否定的な立場をとる識者らの主張の根拠の一つは、展開する空母の不足だった。

 当時、北朝鮮は金日成(キム・イルソン)生誕105年や朝鮮人民軍創建85年などの記念日が続き、前後して弾道ミサイル発射実験を繰り返していた。米国はその最中、空母カール・ビンソンが朝鮮半島近海に向かうと公表したが、半島とは反対方向に航行していたことが判明。軍事関係筋は「空母が存在しない状況下での先制攻撃はありえない」と指摘していた。

 湾岸戦争(1991年)や、イラク戦争(2003年)など、米軍が過去に実施した大規模な軍事攻撃では、それぞれ3隻以上の米空母が展開。3空母の集結は、北朝鮮の反撃に備える最新鋭の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍への配備が9月に完了したことと併せ、先制攻撃も可能な環境が整いつつあることを意味する。

 空母打撃群は、1~2分の間隔で次々と甲板から飛び立つ戦闘攻撃機「FA18ホーネット」などの艦載機に加え、射程2500キロで誤差わずか3メートル程度の能力を誇る巡航ミサイル「トマホーク」を150発以上装備する潜水艦などの強力艦隊で構成される。

 トランプ大統領は8日の韓国国会での演説で、「朝鮮半島付近で世界最大の空母3隻とF35戦闘機が配備されている」と強調。近く16機の配備が完了する見通しの最新鋭ステルス戦闘機とともに、空母打撃群の威力を誇示し、北への圧力を強める方針だ。

 北朝鮮は米空母の接近にその都度敏感に反応しており、「老いぼれ戦争狂のトランプがわれわれを武力で圧殺しようとしている」(7日付労働新聞)と警戒を強めている。(時吉達也)