新資料「パラダイス文書」でロス米商務長官に新ロシア疑惑 石化大手と取引、制裁対象者ら関与

タックスヘイブン
国際調査報道ジャーナリスト連合が南ドイツ新聞を通じて入手したタックスヘイブンの新資料

 ロス米商務長官と関係の深い海運会社と、プーチン・ロシア大統領の娘婿や側近2人が実質オーナーの石油化学大手が取引をしていることが5日、分かった。側近1人は米政府の経済制裁対象。取引額は2014年からの3年間で約6800万ドル(約78億円)に上り、米国の国益と利害対立する「利益相反」の可能性が指摘される。ロシア政府による米大統領選干渉疑惑の捜査が進む中、新たなロシア疑惑はトランプ政権に大きな打撃を与えそうだ。

 トランプ政権閣僚とプーチン政権に直結する人物とのビジネスが明らかになるのは初めて。共同通信が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が南ドイツ新聞を通じて入手したタックスヘイブン(租税回避地)の新資料に基づく取材で判明した。ICIJは新資料を「パラダイス文書」と名付けた。

 トルドー・カナダ首相の盟友による課税逃れ疑惑や、エリザベス英女王の個人資産を使った租税回避地への投資も分かった。

 ICIJによると、ロス氏が出資する投資ファンド4社は租税回避地にあり、経営権を握っている別のファンド2社を通じ海運会社ナビゲーター・ホールディングス(ロンドン)の株3割を16年時点で保有。ロス氏自身もかつてナビ社株を大量に持ち役員を務めた。

 ナビ社はプーチン氏の娘婿、シャマロフ氏が役員の露石油化学大手シブールの輸送業務を請け負っており、今年は輸送を倍増させるなど関係を強化している。シブールの経営陣にはシャマロフ氏のほか、プーチン氏側近の実業家、ミヘルソン氏、投資家、ティムチェンコ氏も入っており、3人とも大量の株を保有している。米政府はロシアによるクリミア併合後の14年、ティムチェンコ氏をプーチン氏との親密な関係から制裁対象に指定した。

 ロス氏の報道官は「ロス氏は倫理の逸脱をしていない。シャマロフ氏らとは面識がない」と回答した。

 新資料は英領バミューダ諸島発祥の法律事務所「アップルビー」などの内部文書。昨年のパナマ文書に続く国際調査報道となった。

 日本の鳩山由紀夫元首相はバミューダに設立された香港系企業名誉会長に就任していた。(共同)

登場する元首ら

 パラダイス文書に登場する主な国家元首と首脳級の人物は次の通り。

 【現職】

 リベリア=サーリーフ大統領▽英国=エリザベス女王▽コロンビア=サントス大統領

 【元職】

 日本=鳩山由紀夫首相▽カナダ=マルルーニー首相、クレティエン首相、マーティン首相▽コスタリカ=フィゲレス大統領▽パキスタン=アジズ首相(共同)