英首相は交渉前進を「懇願」… EU、将来関係の協議先送りへ

英EU離脱
20日、EU首脳会議に出席した英国のメイ首相(中央)ら=ブリュッセル(ロイター)

 【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)首脳会議は20日、英国を除く27加盟国の会合で、英国との離脱後の将来関係に関する協議開始の先送りを決定する。メイ英首相は早期の協議入りを強く訴えたが、EU側では厳しい態度も目立った。一方、首脳らはEU強化に向けた改革議論も加速させた。

 27カ国は将来協議の前提となる離脱条件の協議状況を確認。主要3論点のうち在英EU市民の権利保護の進展を歓迎する一方、未払い分担金問題で英側の具体的説明が不十分などとし、12月に再評価すると表明。同時にEU内で将来協議の準備に入る方針を示す。

 ロイター通信などによると、メイ氏は19日の夕食会で各首脳に「あなた方が弾みを生み、前進させることが不可欠だ」などと交渉進展に向けた歩み寄りを訴えた。国内での「政治的に困難な背景」にも言及し、その様子は「懇願」(ロイター)とも伝えられた。

 交渉では何の合意もなく英国が離脱する事態への懸念も上がる。ドイツのメルケル首相は19日夜、「英メディアの報道とは対照に交渉は徐々に進んでいる」と強調。懸念払拭を図るように、同日の会議では英仏独3首脳がくつろいだ雰囲気で一緒に会場入りもした。

 ただ、焦点の分担金問題では「もっと明確さが必要だ」(ルッテ・オランダ首相)などと、各首脳からはメイ氏への厳しい注文が続いた。EU内では英国への態度で温度差も指摘されるが、「団結」(マクロン仏大統領)を重視しており、12月までに双方が歩み寄れるかはなお予断できない。

 首脳らは20日、今後のEU改革も協議。トゥスクEU大統領は2019年半ばまでの首脳レベルの会合日程と難民・移民対策やユーロ圏統合深化など優先議題を示す作業計画を提案し、議論のたたき台とした。

 EUとしてはマクロン氏の仏大統領選勝利で高まった統合推進への機運を維持し、改革を急ぐ狙い。トゥスク氏は全会一致重視の首脳会議のあり方から、対立点は明確にし、必要なら一部の加盟国だけで統合を先行する考えも示している。