露、北方領土への光回線敷設前倒し 中国企業も参画 外資の関与拡大懸念 

 

 【モスクワ=黒川信雄】ロシア政府はこのほど、極東のサハリン(樺太)と北方領土を結ぶ光ファイバー回線の海底敷設計画を当初予定より前倒しし、来年末までに完成させる方針を決めた。色丹島への経済特区設置と同様、北方領土を自国で開発する姿勢を強調する狙いとみられる。計画には中国の通信機器大手の参画も決定しており、第三国による北方四島開発への関与拡大も注視されそうだ。

 計画はサハリンのユジノサハリンスク(豊原)から択捉島の紗那(ロシア名クリリスク)、国後島の古釜布(ユジノクリリスク)、色丹島の穴澗(クラボザボツク)に向け全長約940キロの光回線を敷設するというもの。2019年中の完了予定だったが、露政府がこのほど公表した政令によると18年末までに完成させ、技術的に利用可能な状況にするという。

 計画は露通信最大手ロステレコムが主導するが、同社の競争入札で回線の海底敷設に関する調査や計画策定の事業を中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が落札したことが今年初め、明らかになっていた。今後、敷設作業などへの参画企業も決定される見通しで、別の第三国の企業も北方領土の開発に加担する可能性がある。

 ロシア政府は今月23日、色丹島への経済特区の設置を決定。日本側と、双方の法的立場を害さない「特別な制度」を検討し、その枠組みにおいて北方領土での共同経済活動を目指す方向で交渉を進めていたにもかかわらず、ロシア独自で島の開発を強化する姿勢を鮮明にした。露極東発展省は29日、特区の発展計画の策定を請け負うロシア企業も選定したと発表した。

 経済特区は優遇税制などを通じて企業進出を促進する制度で、光ファイバー回線敷設計画と同様に、北方領土開発への外国企業の参画の呼び水となる可能性が懸念されている。第三国による北方領土開発への関与は日本の領土返還交渉をさらに困難にさせかねず、日本は対応を迫られている。