米露に直接衝突の危険、妥協見いだせるか アサド氏庇護のプーチン政権に誤算

シリア攻撃
7日、シリアの基地に着弾した巡航ミサイルの炎を映した親アサド政権テレビの画面(Ikhbaria TV提供・AP=共同)

 【モスクワ=遠藤良介】米国によるシリア攻撃について、アサド政権を軍事支援してきたロシアは7日、「主権国家に対する侵略行為であり、国際法違反だ」(ペスコフ大統領報道官)と強く反発した。ロシアは、「対テロリズム」を旗印にしたシリア問題での協力をテコに、米国などとの関係改善を図る戦略を描いてきた。プーチン露政権の目算は一転して大きく狂い、米露の直接衝突すら起きかねない情勢となった。

 ペスコフ氏は7日、露主要メディアに対し、「シリア軍は化学兵器を保有していない」とし、化学兵器が「テロリスト」によって使われたとする立場を強調した。露外務省も、「米国は(化学兵器について)何らの調査もせず、武力の誇示に乗り出した」と非難。米露が2015年、シリア上空での偶発的衝突を避ける目的で署名した「飛行の安全に関する覚書」の効力を停止すると発表した。

 ソ連時代からシリアと友好関係にあるロシアは15年9月、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の掃討を名目に、アサド政権を支援する空爆作戦を開始した。

 ロシア軍はシリア北西部ラタキア近郊の「ヘメイミーム空軍基地」と、タルトゥースにある「タルトゥース海軍基地」を中心に将兵や軍事顧問、特殊部隊など推定数千人を投入。ヘメイミームには、攻撃機スホイ25などの航空戦力や最新鋭対空ミサイルシステム「S400」が配備されている。米軍が攻撃したシリア空軍基地にも、ロシアの軍事顧問が駐留していた可能性が十分ある。

 プーチン政権がシリアに介入したのは、「中東の橋頭堡」と考えるシリアでの政権転覆を阻止し、米欧に自らの「勢力圏」を認めさせる狙いからだった。

 プーチン政権は、トランプ米大統領が対ISの協力を優先し、シリアやウクライナについてロシアに譲歩することを期待。ロシアはイランやトルコと連携し、米国抜きでシリア和平を主導する構えすら見せていただけに、トランプ氏の強硬策は大きな誤算となった。

 シリアでの化学兵器使用が問題となった13年、ロシアはアサド大統領を説得し、化学兵器禁止条約(CWC)に加盟させることで外交的得点すら稼いだ。今回、アサド政権が化学兵器を使ったことが事実だとすれば、ロシアが同政権を掌握・統制できていないことをも意味する。こうした状況で、プーチン政権が米国との間で妥協点を見いだせるかが焦点だ。