日系金融は「脱英国」シフト…大陸に現地法人検討 自動車・鉄道は関税の行方懸念

英EU離脱

 【ロンドン=岡部伸】英国には1千を超える日系企業が進出、在留邦人は6万人を超え欧州で最多だ。10兆円規模の投資をし、英国人を中心に14万人を雇用してきた日本の対英投資は、欧州単一市場に移動の自由があることが前提で、市場からの「強硬離脱」は日本企業にも不利益が生じる。

 影響が懸念されるのは金融業界だ。EUには、加盟国内で金融業の免許をとれば域内全域で営業ができる「シングルパスポート制度」がある。英国で免許を取得している日本の金融機関は、EU離脱となれば、英国以外の加盟国に拠点を置いて許可を取らざるを得ない。

 三菱東京UFJ銀行は英国以外の欧州統括機能をオランダの現地法人に集約すること決めたほか、ロンドンに欧州統括の拠点を置く三井住友銀行も英国以外に現地法人を新設することを検討。大手金融機関支店長は「日系金融機関のほとんどがドイツやオランダ、フランスなど英国以外に現地法人を作るなど、ロンドンからの業務移転・縮小を検討し、英国に軸足を置いたビジネス展開の見直しを迫られている」と話す。

 英国に進出する製造業は英・EUの間の関税の取り扱いを懸念している。

 自動車メーカーは英国に工場を建設し、欧州大陸から部品などを輸入して英国で組み立てた後、最終製品を大陸側に輸出している。日産、トヨタ、ホンダの3社は英国に工場を建て、英国で生産される自動車の半分以上を生産しているが、多くがEU各国に輸出。離脱後は10%の域外共通関税がかかる。

 英国に欧州の主力工場の1つがあるトヨタは、離脱後も工場の撤退は回避したいとしている。またホンダも「(ロンドン近郊の)スウィンドン工場が生産拠点として役割を果たすことに変更はなく、英国外に移すことは想定していない」と事業継続を明言している。

 英国で鉄道車両工場を持ち、2千両以上の高速鉄道を英国に納入する予定で、原発建設も進める日立製作所は、部品調達をEUから英国内に切り替えることなどを検討している。