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「有効性90%超」を謳う新型コロナウイルスのワクチンが、医学における“歴史的な成果”になりうる理由

 製薬大手のファイザーが発表した「90%以上の有効性」をもつという新型コロナウイルスのワクチンは、世界に驚きをもって迎え入れられた。このままワクチンが“本物”であると認められることになれば、その効果や開発スピード、ワクチンの構造といったいくつかの理由で、医学における歴史的な成果になりうる。

TEXT BY MEGAN MOLTENI

WIRED(US)

RAFAEL HENRIQUE/SOPA IMAGES/LIGHTROCKET/GETTY IMAGES
RAFAEL HENRIQUE/SOPA IMAGES/LIGHTROCKET/GETTY IMAGES

製薬大手のファイザーが11月9日(米国時間)、同社が開発を進めてきた新型コロナウイルスのワクチンに90パーセント以上の有効性が確認されたと発表した直後、株価は急上昇した。ホワイトハウスの高官が自分たちの功績だと早とちりする一方で、安堵のため息がネット上を駆け巡ったのである。

「世界中のみなさん、ワクチンが完成しました! 1月10日以来、最高の知らせです」と、マウントサイナイ医科大学でウイルスやワクチンを研究するフロリアン・クラマー(図らずもファイザーの新型コロナウイルスワクチンの治験に参加している)はツイートしている。

だが、「ワクチンは有効」というプレスリリースが製薬会社から出されたからといって、効力のあるワクチンが実際に確保されたわけではない。ファイザーのほか、同社とワクチン開発で提携しているドイツのビオンテック(BioNTech)は、第3相試験のデータをまったく公表していない。今回公表された内容は、治験の初めての中間解析に基づいている。

この中間解析は、43,538人の被験者のうち94人が新型コロナウイルスに感染したことを受け、外部の専門家たちが実施したものだ。その結果、病状が現れた患者のほとんどはワクチンではなく偽薬(プラセボ)を投与されていたことが示された。しかし、それ以上のことは不明である(この点が重要である理由は、のちほど説明する)。

広く行き渡らせるまでの課題

ワクチンの輸送という観点から見ると、研究対象ではない人々にまで広く行き渡らせるには、実現しなくてはならないことが多くある。

ファイザーの研究者は現時点で、少なくとも2カ月分の安全性データを集めている。それらのデータに危険な兆候がなければ、米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請できる。そうして初めて同社は、年末までに製造予定の5,000万回分のワクチンを配布できるようになる。

だが、そのプロセスは、ワクチンを腕に注射する直前までマイナス80℃以下(通常のワクチンの流通環境よりかなり低い)に保たなくてはならないという事実によって複雑化になってくる。

また、免疫を獲得するには3週間空けて2回接種しなくてはならない。現時点でそのような複雑な接種の準備に要するほかの作業(接種の専門医を採用し、デジタル登録を整備し、接種の優先順位を決定する)をこなそうとしている国は、そのような作業に独占的に使える予算すらない状態なのだ。

歴史的な成果

このように注意すべき点は多数あるが、それでも期待を寄せる理由もある。今回の結果が本当なら、90パーセントの効果をもつ新型コロナウイルスのワクチンは、FDAが設定した薬効基準を大きく超えていることになる。そのような防疫効果は、これまで開発されたなかで最高の効能をもつワクチンのひとつである、はしかワクチンに匹敵する。

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