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巨大な3Dプリンターでロケットをつくるスタートアップは、“宇宙での製造”を目指している

 世界最大級の巨大な金属3Dプリンターでロケットをつくる--。そんなプロジェクトが、いま米国で進められている。スタートアップであるRelativity Spaceが目指している計画は、単にロケットを3Dプリンターでつくるだけにとどまらない。目指すゴールは、火星でのロケットの製造だ。

TEXT BY DANIEL OBERHAUS

TRANSLATION BY NORIAKI TAKAHASHI

WIRED(US)

3DプリンターでロケットをつくるためにRelativity Spaceは、エンジンをはじめとする多くの部品の設計を簡素化した。PHOTOGRAPH BY RELATIVITY SPACE
3DプリンターでロケットをつくるためにRelativity Spaceは、エンジンをはじめとする多くの部品の設計を簡素化した。PHOTOGRAPH BY RELATIVITY SPACE

ほとんど無人のロケット製造工場では、ロボットが四六時中あくせく働いていて、静かな駐車場にまでうなるような音が響き渡っている。

「キアヌ・リーヴスがジムでアクショントレーニングをするような音でしょう」と、ロサンジェルスが本拠地のRelativity Space(レラティビティ・スペース)の共同創業者兼最高責任者(CEO)のティム・エリスは言う。同社は3Dプリンターと人工知能(AI)を組み合わせて、かつてヘンリー・フォードが自動車において実現したことをロケットでも実践しようとしているスタートアップだ。

ロボットが所狭しと並ぶ同社の工場を歩きながら、エリスは完成したばかりのロケットの上部を指さした。1回目のテストに向けてミシシッピ州に運ばれる予定のものである。そしてエリスは工場の外を指さしながら、道路の反対側にはスヌープ・ドッグが所有するレコーディングスタジオがあることを教えてくれた。

そのスタジオとは違って、Relativity Spaceのロケット工場に有名人がやってきたことはない。だが、こうしたまったく縁のなさそうな隣人たちの存在こそが、この企業の最大の特徴を裏づけているようだ。その特徴とは、「どこでもロケットをつくれること」である。

一方で、Relativity Spaceが目指している宇宙では、スヌープ・ドッグよりもさらに異質な“隣人”に出会うことになるだろう。Relativity Spaceが目論むのは、ただのロケット製造ではない。火星でのロケット製造なのだ。

でも、どうやって?

「答えは“ロボット”なんです」と、エリスは言う。それも、たくさんのロボットである。

ニッチ市場を目指して

ロサンジェルスにあるRelativity Space本社の搬入口のシャッターを上げると、そこには世界最大級の金属3Dプリンターが4台あり、ロケットの部品を“出力”し続けている。同社が独自に開発したプリンター3D「Stargate」の最新モデルは高さ30フィート(約9m)で、本体から2本の巨大なロボットアームが触手のように突き出ている。

同社が初めて製造するロケット「Terran-1」[編注:「テラン」とはSF用語で「地球人」の意味]の95パーセントは、Stargateで出力される。例外となる部分は、電子機器やケーブル、可動部品、ゴム製のパッキンだけだ。

3Dプリンターでロケットをつくるために、エリスのチームはロケットの設計を根本から見直す必要があった。その結果、同社のロケット「Terran-1」の部品数は、同等のロケットと比べて100分の1で済むという。例えば、一般的な液体燃料ロケットのエンジンは数千の部品で構成されるが、同社のロケットエンジン「Aeon」の部品数はわずか100個だ。

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