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ナイキに挑むアディダス、新構造のランニングシューズ「adizero adios Pro」の秘密

アディダスはEnergyRodsの長さや位置、硬さを決めるために、数百にも上るプロトタイプを作成した。カーボンプレートをソール全体に組み込むことも試し、一部のモデルではそれを採用したが、究極的に最も優れているのはこの形状だという結論に至ったという。

特殊素材による補強が最も効果的な位置は骨のある場所なのだと、ハンディは説明する。「ほかの部分では必要ありません。大きなカーボンプレートを使うよりも自然な状態に近い感覚になることがわかりました」

カーボンプレートは「必須ではない」

ナイキのシューズの効果は第三者機関によるテストで証明されているが、その正確な理由はわかっていない。カーボンプレートとフォーム素材「ズームXフォーム」の組み合わせがパフォーマンスの向上に貢献していることは確かだが、いずれも単独ではそれほどの力は発揮しない。秘密を探るには、カーボンプレートのシューズとは違う素材のプレートを採用したシューズだけでなく、プレートの入っていないシューズも科学的に比較研究する必要があるだろう。

アディダスのハンディによると、ランニングシューズの機能性を高めるためにカーボンプレートは必須ではなく、むしろシューズのそれぞれの部分が全体的なパフォーマンスの向上に少しずつ寄与しているという。ハンディは「すべてはカーボンプレートのおかげだといった文章を読まれたことがあるかもしれませんが、それは間違っています」と指摘する。

重要なのは、フォーム材の耐摩耗性、ソールの厚さ、どれだけの硬さを出すかといったことだという。アディダスのランニング部門のアルベルト・ウンチーニ・マンガネッリは、「すべてがつながっています」と語る。「全体がまとまって機能すべきなのです。どこかひとつの要素を変えるなら、ほかの部分も調整する必要があります。わたしたちのシューズの方程式は、このようにして進化を遂げてきました」

スポーツ用品メーカーはシューズの開発に巨額の資金を投じることができるが、それとは別の部分でもうひとつ鍵を握るのは、選手に実際に使ってもらうことだ。アディダスはこれまで、契約を結ぶプロ選手だけにアディオス プロを提供しており、ジェプチルチルが記録を出したプラハのハーフマラソン大会では参加者全員がこのシューズを履いていた。なお、男子のレースでは、やはりケニアのキビウォット・カンディエが史上5番目のタイムとなる58分38秒で優勝している。

快適な走りを実現するために

こうしたなかワールドアスレティックス(世界陸連)は今年1月、競技用シューズに関する新たな規則の導入に踏み切った。カーボンプレートの入った“厚底”シューズによる記録更新が続出したことが理由で、この種のシューズが競技に及ぼす影響を巡る調査は現在も続いている。

厚底シューズはテクノロジーを利用したドーピングに等しく、パフォーマンスシューズを履いた選手が出した記録は公式に認められるべきではないとの批判もある。自分の走りはシューズの性能とは関係ないと主張する選手がいる一方で、ジェプチルチルは記録を出せたのはテクノロジーのおかげであると認めている。彼女は大会後のインタビューで、「最後の5kmは疲れ果てていましたが、新しいシューズが記録更新を助けてくれました」と語った。

ランニングシューズに採用される技術は、いずれも快適な走りを実現するためのものである。ラボの試験で高いパフォーマンスが出たからといって、必ずしも選手が実戦で使いたいようなシューズに仕上がっているとは限らない。アディダスのハンディは「試験装置でいい数字が出ていても、実際に履いて走ってみると、行き過ぎか逆に何かが足りないということもあります」と言う。

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