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運動すると記憶力がよくなる!? そのメカニズムが研究から明らかに

運動と記憶テストは1度の訪問で1回、それぞれ中強度のサイクリング30分(最大心拍数70パーセント)、強度のサイクリング15分(最大心拍数80パーセント)、または運動なしのあとに実施された。

運動後の記憶実験は次のようなものだ。画面には4つの点が隣り合って配置されていて、被験者の前にはそれぞれの点に対応する物理的な4つのボタンがある。画面上の点が星に変わるたびに、彼らは対応するボタンをできるだけ早く押さなければならない。

ここで彼らが学習する動作は、事前に取り決められたパターン(ボタンを12回押すシーケンス)を、10回繰り返すことだ。一度パターンを記憶してしまえば、より早くボタンを押せるという仕組みである。なお、このパターンは訪問ごとに変化する。

「これは例えば、キーボードのタイピングをできるだけ早く覚えるときと非常によく似ています」と、研究チームのブランカ・マリン・ボッシュは説明する。「研究では強度のスポーツセッションのあと、パフォーマンスが格段に向上しました」

さらに研究チームは、機能的磁気共鳴機能画像法(fMRI)で脳の活性度がどう変化したかの観察と、エンドカンナビノイドのレベルを測定するための血液検査を実施した。fMRIからは個人の“タイピング”が速いほど、記憶に関与する「海馬」と運動時に関与する「尾状核(線条体の一部)」が活性化していたことがわかった。また、血液中のエンドカンナビノイドのひとつであるアナンドアミドのレベルは、運動の強度に合わせて上昇した。

「アナンドアミドはシナプス可塑性、すなわちニューロン同士のつながり方に関与しています。記憶を固定化するための最適なメカニズムである『長期増強』に作用する可能性があります」

つまり、やや強度の運動をすることで体内ではアナンドアミドが生成される。これが脳を活性化し、海馬や線条体のニューロン同士の伝達を担うシナプスの構造や機能を変化させることで、長期的な記憶の回路ができやすくなると考えられるのだ。

学力向上やアルツハイマー病の予防にも

これらの知見からは、記憶力の改善や温存のための新たな方法が示唆されている。例えば、神経変性疾患アルツハイマー病の予防のため、または進行を遅らせるためのスポーツセッションは安価ですぐにでも始められる。

ひょっとすると、毎朝学校で15分程度の運動をすることで、その後の授業の内容を記憶に定着させるという、学習能力の向上にも応用できるかもしれない。

ちなみに研究チームは、かつて実施した運動と「連想記憶」の実験についても言及している。部分的な情報を手がかりに、より関係の深い事柄が想起される「連想記憶」においては、強度の運動よりも中強度の運動のほうが効果があったという。

これについて研究チームでは、すべてのタイプの記憶が同じ脳のメカニズムを使っているわけではないのと同様に、運動の強度がすべての記憶タイプに同じ結果をもたらすとは限らないと議論している。しかし、連想記憶も動作の記憶も運動をしたあとのほうが向上することは、間違いないと思っていいようだ。

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