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音楽アルバムを「分割配信」する手法は正しいのか? ストリーミング時代ならではの手法に賛否

 ここ数年、ひとつのアルバムを分割してリリースするアーティストが音楽ジャンルを問わず増えている。「Spotify」に代表されるストリーミングサービス時代のビジネスの現実を反映したこの手法。利点と欠点はどこにあるのだろうか--。米国の音楽メディア「Pitchfork」による考察。

TEXT BY MARC HOGAN

ADDITIONAL REPORTING BY RAWIYA KAMEIR

TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI/GALILEO

IMAGE BY DREW LITOWITZ
IMAGE BY DREW LITOWITZ

音楽アルバムは死んでいない。かたちを変えつつあるだけだ。それも何度もである。アルバムの始まりからずっと、その形式、そしてそれに伴うマーケティング手法は、変化する技術と状況に適応し続けざるを得なかった。

ストリーミングの時代になってからは、さまざまな新しい試みがすでに登場している。プレイリストとしてのアルバム、制作途上のアルバム、道楽としての非常に長いアルバムといったものがその例だ。そしていま、もうひとつのトレンドが生まれつつある。分割してリリースされるアルバムだ。

ストリーミング時代に生まれた「分割」の手法

2020年に入り、シンガーソングライターのモーゼス・サムニーや、ポップ・パンクバンドのパラモアでリードボーカリストを務めるヘイリー・ウィリアムス、カントリー・デュオのマディー&タエなど、さまざまな音楽ジャンルのアーティストたちがニューアルバムを小分けにし、数カ月にわたり間隔を空けながら発表している。

ストリーミングが以前にも増して主流になるなか、アルバムを分割して発表する手法はアーティストたちにとって賢明なやり方かもしれない。アーティストたちはクリエイティブな野望を追求する一方で、果てしないスクロールによって特徴づけられる商業環境にも適応しなければならないからだ。

アルバムを複数回に分けるという大胆な手法を選んだことについてマネージャーやレーベル側は、すべてアーティストのビジョンから始まったと主張しがちである。一方でアルバムのシリーズ化は、Spotifyに代表されるストリーミングサービス時代のビジネスの現実を反映していると認める声もある。あるインディーズレーベルのキャンペーンマネジャーは、「結局すべてが行き着く先はストリーミングなんです」と言う。

EP盤の長さのいくつかのレコードが次第にひとつのアルバムになるというトレンドは、個々の曲の長いバージョンが聴けるアルバムや、若いラッパーが一連の未公開曲で興奮を引き起こす手法など、最近の業界慣行をさらに拡張するものであり、両方が共存することも多い。

ひとつのアルバムの異なる部分を複数の塊に分けて発表すれば、理想的にはファンを何度も呼び戻せることになる。単に数曲のシングルを出してからアルバムを出す手法に比べて、視聴回数も伸ばせる。

さらにアルバムの発売日を増やすことで、視聴者にストリーミングサービスの楽曲に目を向けてもらう機会も増え、プレイリストに組み込まれたり、ストリーミングサービス上で宣伝されたりする可能性も高くなるだろう。

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