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太陽光発電施設で起きている鳥の大量死、その「謎」をAIが解き明かす

 米国の太陽光発電施設では、毎年十数万羽の鳥が謎の死を遂げている。いまだ原因がわかっていないこの謎に挑むために、研究者たちは人工知能(AI)による“バードウォッチャー”を開発中だ。

TEXT BY DANIEL OBERHAUS

TRANSLATION BY KAREN YOSHIHARA/TRANNET

WIRED(US)

EDWIN REMSBERG/GETTY IMAGES
EDWIN REMSBERG/GETTY IMAGES

米国の太陽光発電施設は、「鳥問題」に頭を悩ませている。というのも、施設内では長年にわたり、地面に散らばる鳥の死骸が発見されているからだ。

これは全国的な太陽光発電ブームが招いた奇妙かつ予想外の事態である。原因は定かではないものの、「環境に優しい」と謳う太陽光エネルギーにとっては明らかな問題だろう。

こうしたなか電力会社や研究者、環境保護団体は、米国内の太陽光発電施設における鳥の犠牲を減らす方策を立てるために、2013年に共同で「太陽光発電鳥対策作業グループ(Avian Solar Work Group)」を設置した。

鳥の大量死の謎

「太陽光発電が鳥に及ぼす影響を調べた研究は、これまでほとんどありませんでした」と、ノースカロライナ州の電力会社デューク・エナジーの主任環境科学者で同作業グループのメンバーでもあるミスティ・スポーラーは言う。「死んだ鳥が発見されることが何を意味するのか、誰にも確かなことがわからなかったのです」

だが、太陽光発電施設内の鳥の死に関するデータを集めることさえ、簡単なことではない。

初めてこの問題を取り上げた2016年の研究では、米国内の数百にのぼる実用規模の太陽光発電施設において、推定年間14万羽近くの鳥が犠牲となっている可能性が示された。これは化石燃料を用いた発電所で(衝突や感電死、毒によって)犠牲になると推定される個体数の0.1パーセントにも満たない。だが、現在計画中の太陽光発電施設の稼働が始まれば、その数は3倍近くに増えるだろうと研究者たちは予測している。

太陽光発電施設と鳥の死との関連性は、いまだ明らかになっていない。ある有力な説では、鳥がソーラーパネルの反射光を湖面の輝きと勘違いし、着水のために急降下して命を落とすのではないかとされている。

「とはいえ、これは人間の視点で考えた仮説にすぎません」と、スポーラーは言う。「そもそも鳥は人間と同じように物を見ているのでしょうか? 全容の把握には、もっと多くのデータを収集する必要があります」

鳥の数をAIが計測

そこで米エネルギー省は2020年初め、米国内の大型太陽光発電施設における鳥の行動調査に特化した人工知能(AI)プラットフォームの開発を発注した。この130万ドル(約1億3,800万円)の契約を受注したイリノイ州のアルゴンヌ国立研究所の研究者チームは、このAIシステムで収集されたデータが鳥類学者による鳥の大量死の原因解明にひと役買うことを期待している。

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