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離着陸まで完全自動のセスナ機、そのテスト飛行に同乗して見えてきたこと

 離着陸も含め完全に自動運転で飛ぶ飛行機の開発が進められている。米国のスタートアップのXウィングが開発中の無人飛行システムは、いかに乗員が何もしなくて済む「退屈なフライト」を実現しようとしているのか。その試験飛行に同乗した『WIRED』US版のレポート。

TEXT BY GREGORY BARBER

TRANSLATION BY CHIHIRO OKA

WIRED(US)

Xウィングが無人飛行を可能にする遠隔操作システムの試験に使っているセスナ機。PHOTOGRAPH BY PHUC PHAM
Xウィングが無人飛行を可能にする遠隔操作システムの試験に使っているセスナ機。PHOTOGRAPH BY PHUC PHAM

その日の気象条件は、それほどよくなかった。サンフランシスコ東部の小高い丘にある小さな飛行場では、滑走路に対して強い横風が吹いている。

わたしたちを乗せた機体は、ゆっくりと最終着陸態勢に入る。地面に映る翼の影が肉眼で確認できるところまで降下したとき、隣に座っているベテランのパイロットが話しかけてきた。「両手を上げてみましょうか。ジェットコースターみたいにね」と言って、彼は操縦桿から手を離す。

この小型機「セスナ 208 キャラバン」は27年前に生産された機体で、以前はアフリカ南部で国際連合(UN)の高官のような要人の足として活躍していた。とはいえ、特に贅沢な要素はなく、旅客機というよりはゴーカートのような感じがする。

コックピットは昔ながらの手動式スイッチやアナログのメーター類で埋め尽くされており、方向舵ペダルの動きが主脚の車輪に連動するようになっている。ただし、この飛行機には最近、大きな改造が施された。

高度が500フィート(152.4m)を割り込んだところで、風速15ノット(秒速7.7m)の風が機体に吹き付ける。パイロットは操縦桿から手を離したままにもかかわらず、ペダルと車輪がわずかに動き、機械のような正確さで風の影響を調整する。機体は静けさを保ったまま降下を続け、無事に着陸した。

「退屈」であることの意味

この無人飛行システムは、サンフランシスコに拠点を置くXwing(Xウィング)が開発した。最高技術責任者(CTO)のマキシム・ガリエルは、今回のグランドキャニオンでの試験飛行の前に次のように語っていた。「何も起こらないので、むしろ退屈に感じるかもしれませんね。でも、それがわたしたちが目指していることなのです」

ガリエルは趣味でスカイダイビングをしており、そこから飛行機に興味をもって航空エンジニアになった。彼にとってはそれほど重要なことではないのかもしれないが、「むしろ退屈」という表現はわかりやすい。多くの人にとって、パイロットなしの空の旅でいちばん避けたいことは、恐ろしい体験だろう。

航空業界において、自動化は珍しいことではない。民間の旅客機ではかなり前から、パイロットが実際に操縦するのは離着陸だけになっている。離陸してしまえば、あとは自動操縦(オートパイロット)システムに切り替えて航行するわけだ。

それでも緊急事態が起きた場合は人間のパイロットが操縦するだろうと思っているかもしれないが、実はこれは間違いである。一般的にはオートパイロットのほうが、人間がするより簡単かつ安全に飛行条件の変化に対応できる。

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