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消費電力がネックの自律走行は、完全なEVでも成立する:研究結果は実用化への追い風になるか

フォードはこうしたデータに基いて検討した結果、電気だけで走る自律走行車をつくった場合、運賃を支払う乗客を運ぶ時間に対して充電時間が長ぎると判断した。「収益性が高く成功するビジネスモデルを構築するには、適切なバランスを見極める必要があります」と、広報担当者は説明する。

一方、ゼネラルモーターズ(GM)はこれと違う意見をもつ。自動運転技術を開発するGMの子会社クルーズは、トースターのような形をした6人乗りの自動運転EV「Origin」を1月に発表した。クルーズは19年にサンフランシスコでOriginを使った配車サービスを開始する計画だったが、このプロジェクトは無期限で延期が決まっている。GMは現時点では、将来的に「シボレー・ボルト」のEV版を完全自動運転化していく方針を示している。

GMの政府渉外担当バイスプレジデントのロブ・グラントは、クルーズは都市中心部で充電インフラを拡充することで、利便性を高めていきたいと考えているのだと説明する。同社によると、サンフランシスコにある急速充電ポイントの40パーセントはクルーズが保有しているという。

また、GMにとってはEVへの注力が、特にカリフォルニア州においては政府との折衝で重要になるとグラントは考えている。「各方面の規制当局が持続可能性を重視しています。わたしたちの使命は温室効果ガスを削減するという州の目標と合致しています」

方針を転換した企業もある。アルファベット傘下のウェイモは、自動運転による配車サービスではクライスラーのミニバン「パシフィカ」のハイブリッド版を採用していたが、ジャガーのSUVタイプのEV「I-PACE」に切り替えることを決めた。充電時間が短いことが主な理由だという。なお、アリゾナ州フェニックスで実施中の自動運転の実証実験では、安全のためにほとんどの場合でクルマに技術者が同乗している。

これに対してテスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクは、一貫して自社のEVによる完全自動運転の追求を続けてきた。マスクは7月初めに「年内にレベル5の自動運転を実現する」と宣言しているが、業界アナリストはいずれもこれに懐疑的な見方を示している。

技術と関係のない課題も山積

カーネギーメロン大学の研究者たちは『Nature Energy』の論文で、それほど大きな変更をしなくてもEVを自動運転に対応させることは可能だと指摘している。コンピューターによる自動制御での発進と停止を繰り返しても、航続距離は都市部では最大10~15パーセント程度の影響しか受けないという。

さらに、自律走行車の運転技術をプログラムによって向上させることで、エネルギー消費の効率化につながる。また、半導体を専用設計のものに切り替えることも省エネ化に貢献する。

これに対して郊外では、都市部と比べてクルマの走行スピードが速くなり、レーザー光を用いるセンサー「LiDAR(ライダー)」が外付けされていると空気抵抗の影響を受けやすくなる。このため航続距離は5~10パーセント少なくなる。ただし、不格好なセンサーをうまく車体に組み込めれば、さまざまな問題の解決につながるだろう。

研究者たちによると、自動運転の普及には課題がたくさんあるが、その一部はテクノロジーとは無関係なのだという。カーネギーメロン大学のスリパッドは、「社会科学的な側面については研究をしたことがありません。例えば、消費者は自動運転のためにどの程度の金額なら払うのか、といったことです」と指摘する。自動車メーカーの経営幹部も、この点には大きな関心があるだろう。

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