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「カーボン・ファーミング」の導入は、真の意味での”エコ”な農業を実現するか

 農地の土壌の質を向上させることで温室効果ガスの排出削減を目指す「カーボン・ファーミング」と呼ばれる手法が注目されている。カーボンニュートラルな農業や持続可能性の実現に向けた試みのひとつとして取り組みが始まっており、米国では法制化を目指す動きも出てきた。

TEXT BY ERIC NIILER

TRANSLATION BY CHIHIRO OKA

WIRED(US)

農業の手法による温室効果ガスの排出量は世界全体の24パーセントを占める。化学肥料の使用や植付期の後に土をいじることで、土壌の炭素固定能力が下がってしまうのだ。ARTUR DEBAT/GETTY IMAGES
農業の手法による温室効果ガスの排出量は世界全体の24パーセントを占める。化学肥料の使用や植付期の後に土をいじることで、土壌の炭素固定能力が下がってしまうのだ。ARTUR DEBAT/GETTY IMAGES

インディアナ州にある5,000エーカー(約20平方キロメートル)の農場で、ブレント・バイブルはトウモロコシと大豆を生産している。収穫した作物はバイオエタノールや食品添加物に加工するほか、種子として利用されることになる。カリフォルニア州のナパバレーでは、クリスティン・ベレアーが50エーカー(約0.2平方キロメートル)の畑でブドウを摘んでいる。品種はワイン用として有名なカベルネ・ソーヴィニヨンとソーヴィニヨン・ブランである。

ふたりに共通する点は、土壌の質を向上させることで温室効果ガスの排出削減を目指す「カーボン・ファーミング」という手法を実践する農業生産者であることだ。具体的には、耕作の頻度を下げ、土地の表面を堆肥などの有機物質で覆ったり緑肥作物を植えたりして土壌を保護し、排水溝をなくす代わりに樹木を育てることに取り組んでいる。

米国の連邦議会では現在、カーボン・ファーミングを排出量取引制度に組み込むための法整備が進められている。法制化が実現すれば、農業生産者は温室効果ガスの削減に寄与することで報酬を得られるようになる。

バイブルは6月末、上院の農業・栄養・林業委員会でのヒアリングに呼ばれていた。インディアナ州選出の民主党議員マイク・ブラウンとミシガン州選出の共和党議員デビー・スタベノウが共同で提出した法案は、この仕組みへの参加を希望する農業生産者のためのコンサルティングや削減実績の調査を実施する外部機関を、農務省が独自に認定する内容だった。

農業生産者への報酬や外部機関への契約金の支払いは排出量取引から得られる利益で賄われ、税金は使わない。また、農家が外部機関への支払いを一部負担することもあるという。

高まる排出量取引への依存度

カーボンニュートラルを目指す動きは世界的に進んでいる。だが、各国政府や企業は目標達成のために排出量取引に頼っているのが実情だ。

排出量取引制度においては、売り上げは温室効果ガスを削減する取り組みに使われる。つまり、排出量を購入することでインドネシアでの植樹活動に貢献したり、カリフォルニア州の酪農場に牛のげっぷに含まれるメタンガスを吸い上げてバイオ燃料に変換する装置を取り付けるといったプロジェクトに資金を援助することになるのだ。ただし、購入者自身が温暖化防止に向けて実際に何かをするわけではない。

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