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草食動物の“好き嫌い”によって、「森林の燃えやすさ」が変わる:研究結果

 小さな昆虫からシカやヒツジのような草食動物まで、森林を餌場とするあらゆる生き物は、その土地の燃えやすさに大きな影響を与えている。だが、生態系と火災リスクの関係は、われわれが想像するよりずっと複雑であることが、最近の論文から明らかになった。

TEXT BY MATT SIMON

TRANSLATION BY GALILEO

WIRED(US)

ANDREA ROBINSON/GETTY IMAGES
ANDREA ROBINSON/GETTY IMAGES

ここ数年のカリフォルニア州は相次ぐ山火事に見舞われており、その炎は年々激しさを増している。だがそこに、思いもよらない火消しの英雄が現れた。それはヤギである。

特に山間部の自治体は、町の周辺部で茂りすぎた植物をヤギの群れに食べさせ、火災を食い止める取り組みを進めている。この仕事は、ヤギ(と、世界中にいるその仲間たち)にとっては“天職”だ。シカやヒツジといった草食動物は、山火事を巡る生態系のなかで重要な役割を果たす。植物を食べ尽くすことで、火事の規模を抑えているのだ。

ただし、物事はそう単純ではない。オーストラリアの研究者が学術誌『Trends in Ecology & Evolution』誌に発表したレビュー論文によると、草食動物と植物、そして山火事における相互作用は、非常に複雑で意外なものであるらしいのだ。

草食動物は燃えやすい植物を残す

この論文によると、一部の動物種は植物との相互作用によって山火事を悪化させることがあるという。さらに厄介なのは、例えば低木より草を好んで食べるといった草食動物の行動が、生態系の物理的な構造だけでなく、その全体的な特性まで変えうる点だ。

そしてこうした要因のすべてが、急速に温暖化が進む地球において、人類がどう山火事に対応できるかに大きく影響する。

草や低木が広がる光景を想像してみてほしい。そこがアフリカであれば、レイヨウ(アンテロープ)がのんびり草を食んでいるかもしれない。オーストラリアなら、カンガルーが飛び跳ねながら草をむしゃむしゃ食べる。

食事を終えた動物たちは移動し、植物はやがて再生するだろう。過去何千年間にわたってそうだったように、あらゆることが自然に均衡を保っているように見える。

だが当然ながら、実際に均衡が保たれている生態系はほとんどない。いまでは多くの場所に、そこで同じように草を食べようとする新しい種が存在している。例えば現在のオーストラリアには、数が増えすぎたカンガルーに加えて、ヒツジやウシなど家畜の草食動物も生息している。

こうした追加の菜食主義者たちは、いずれも栄養価が高い色鮮やかな緑色の植物を好む。その一方で、手付かずの濃い茶色の植物は、山火事を悪化させる危険な燃料として蓄積するかもしれない。

さらに、草食動物が低木より草を好むことによって、植物の垂直構造が変化し、火事の危険性が高まることも考えられる。丈の短い草が主体である場所と、それより背の高い低木が主体の場所とでは、燃え方が大きく異なるからだ。

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