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「たった5分」でEVを充電できる時代がやってくる

 電気自動車(EV)の充電には時間がかかるのが“常識”だったが、わずか5分もあれば充電できる時代が訪れるかもしれない。あるバッテリーメーカーが、5分で容量の75パーセントまで充電できるバッテリー技術を開発したのだ。

TEXT BY DANIEL OBERHAUS

TRANSLATION BY GALILEO

WIRED(US)

ABB FIA FORMULA E/HANDOUT/GETTY IMAGES
ABB FIA FORMULA E/HANDOUT/GETTY IMAGES

電気自動車(EV)のF1とも称される「フォーミュラE」において、2022年にデビューする第3世代レースカーのスペックが発表されたのは2019年末のことだった。次世代の電動レースカーは、最新の超高速充電ステーションを初めて使うことになる。テスラのEV「モデルS」のバッテリーを約10分でフル充電できるほどのパワーがある充電ステーションだ。

レーサーたちは、この充電ステーションを短時間のピットストップでしか使用しない。だが、そこではきっとレーストラックの先にある“未来”も見えてくるはずだ。その未来とは、ガゾリンタンクを満タンにするのと同じ時間で充電が完了するバッテリーである。

EV用の高速充電器は、すでに存在している。テスラとポルシェの両社は、このほど最高出力250kWという公共充電ステーションの設置作業を終えた。これらの充電ステーションを利用すると、一部のバッテリーは約40分でほぼフル充電の状態になる。

この40分という時間は、ガレージでひと晩かけて充電することを思えばずっとましかもしれない。それでもガソリン車を満タンにする時間よりはずっと長い。それに、この充電ステーションを利用できるのは、ほんのひと握りの最新ハイエンドEVに限られている。EVを普及させるには、もっと速く充電できる手ごろな価格のバッテリーが必要になってくる。

「米国の人口の半分以上は、充電設備のないアパートやコンドミニアム、一軒家で暮らしています」と、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)で電気化学エネルギー貯蔵研究グループを率いるマシュー・キーサーは指摘する。「EVの普及率を高めるには、こうした人々に素早く充電できる手段を提供する必要があります」

充電速度を上げることのトレードオフ

そうは言っても、リチウムイオンバッテリーの充電速度を上げることにはトレードオフが伴う。充電中にはリチウムイオンが正極(カソード)から負極(アノード)へと流れる。通常は炭素の一種である黒鉛(グラファイト)からつくられる負極は、イオンを集めて蓄えるバケツのような役目を果たす。負極が厚くなれば(つまりバケツが大きくなれば)、より多くのエネルギーをリチウムイオンのかたちで蓄えることができ、一度の充電でEVをより遠くまで走らせることができる。

一方で負極の厚みが増せば、高速充電はより困難になる。イオンが負極内の曲がりくねった経路をより長く進まなければならないからだ。充電中にイオンが十分な速さで負極の中を通れなければ、分子的な交通渋滞が起き、リチウムは負極の表面で塊りになってしまう。この現象は「リチウムプレーティング」と呼ばれており、バッテリーの性能を著しく損う恐れがある。

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