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水田での稲作は地球温暖化を促進するが、魚を育てれば問題が解決する:米国のNPOが実証

 人間が食べる穀物のうち、カーボンフットプリントが最も大きいのはコメだという。水田の底にある泥からは、温室効果が二酸化炭素の30倍近いメタンが発生しやすいからだ。この問題を解決する意外な方法が、このほど見つかった。鍵を握るのは水田に投入される魚だ。

TEXT BY MOISES VELASQUEZ-MANOFF

TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI/GALILEO

WIRED(US)

農業に関連する地球温暖化のうち、コメの栽培が原因とされる割合は10パーセントだ。IMAGE BY VIOLET REED
農業に関連する地球温暖化のうち、コメの栽培が原因とされる割合は10パーセントだ。IMAGE BY VIOLET REED

炊きたてのご飯を前にしたときに、考えてほしいことがある。それは人間が食べるすべての穀物のうち、カーボンフットプリントが最も大きいのはコメだとされることだ。もちろん、コメは人類の半数にとって欠かせない主要な穀物だが、それだけに炭素の排出量も膨大になる。

コメは通常なら水田で育つ。だが大きな問題は、水田の底にある泥には酸素があまり含まれていないことなのだ。このような酸素の少ない泥は、メタンを発生させる特定種の細菌にとって快適な場所になる。メタン(CH4)の分子が気候に与える影響はCO2よりはるかに大きく、100年で30倍近い温室効果があるとされている。

つまり、稲作によって地球温暖化を促進する細菌も大量に育てることになってしまうのだ。

偶然から始まったプロジェクト

そこで考えられる解決策のひとつが、魚である。環境保護NPO「Resource Renewal Institute(資源再生研究所)」の実験によると、水田に魚を放つと連鎖的に発生する事象によって水の細菌集団が変化し、最終的に大気に漏れ出すメタンの量が減るという。さらにこの方法は、生態系が気候変動にどのように寄与しているかについて、別の考え方も示している。

もしこのプロジェクトが成功すれば、世界中の稲作のあり方を変える可能性がある。それを考えると、このプロジェクトがほとんど偶然に始まったという点は興味深い。

Resource Renewal Instituteは2012年に「Fish in the Fields(水田の魚)」プロジェクトに着手したが、その目的は天然魚の乱獲を防止するためだった。「プロジェクトは順調に進んでいました」と、理事長のデボラ・モスコウィッツは言う。ところが15年、同NPOの主要な資金提供者であるパタゴニアがコメが気候に与える影響について懸念を抱き、水田から放出されるメタンに関して何か可能なことはないかと、モスコウィッツに尋ねてきた。

科学文献を探すことから始めたモスコウィッツは、アジアの一部地域で伝統的に行われている「水田での魚の養殖」によって、メタンが大幅に減少することを示唆する資料を見つけた。だが、その結果に一貫性はなく、魚が問題をどのように解決するのかは説明されていなかった。

このため、モスコウィッツが『Nature Communications』誌に掲載されたある論文を見つけたとき、小躍りするほどだった。この論文では魚とメタンの関係について、水田ではなく湖で調査したものである。

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