PR

WIRED WIRED

学校閉鎖が解除されたあと、子どもたちに残る「長期的な影響」の深刻度

 新型コロナウイルスのパンデミックによって、学校閉鎖が世界的に続いている。こうした状況が、子どもの教育や精神的健康に深刻な影響を長期的に与える可能性が指摘されている。参考になるのが、過去に発生したハリケーンや地震といった大規模災害だ。

TEXT BY OLIVER FRANKLIN-WALLIS

WIRED(UK)

RUHEY/GETTY IMAGES
RUHEY/GETTY IMAGES

ハリケーン「カトリーナ」は2005年にメキシコ湾岸を直撃し、1,800人以上の命を奪った。そしてハリケーンの通過後、推定37万2,000人の子どもが転居を余儀なくされた。しかも100校以上の公立学校が破壊され、無事だった学校も数週間ほど閉鎖されたのだ。

洪水が引いたあと、転居した生徒たちは最終的に新しい学校に通うようになった。しかし、災害による影響は長く続いた。

一部の子どもにはハリケーン直撃からずっとあとになって、不安障害やうつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の兆候が多く現れるようになった。5年後の調査によると、ハリケーン後に転居した子どもの3分の1以上が、同学年の生徒より少なくとも1年分ほど学業が遅れたままだったという。

表面的には、ハリケーンと新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)には、ほとんど類似点がない。だが、世界中の13億人を超える子どもたちが学校閉鎖で家庭学習を余儀なくされているいま、自然災害は世界中の研究者や親たちが抱える疑問に対する有益な情報を研究者に提供できる。新型コロナウイルスによる学校閉鎖は、子どもたちに長期的な影響を与えるのか?という疑問についての洞察である。

災害が子どもにもたらす影響

初期の兆候は、あまり楽観できるものではない。ハリケーンや地震、感染症のアウトブレイク(集団感染)の後遺症に関する研究では、災害が子どもの教育や精神的健康に深刻な影響を与える可能性が指摘されている。

「回復の過程は災害の特性によって異なりますが、人間への影響は多くの場合、かなり一貫性があることがわかっています」と、メルボルン大学で子どもの健康とウェルビーイングに関するプログラムのディレクターを務めるリサ・ギブズは語る。

ギブズは、2009年にオーストラリアで起きた通称「ブラックサタデー」と呼ばれる山火事の生存者に関する調査を実施している。この調査によると、影響を受けた地域の子どもたちは、山火事のあと数年にわたって国語と数学のテストで同学年の子どもより成績が悪いことが明らかになった。

「重大なトラウマや喪失、継続的なコミュニティの混乱を伴う出来事があると、学習への影響が長期化します」とギブズは指摘する。「学習能力は次第に元に戻るかもしれませんが、学習の遅れを取り戻せずに将来の進路や進学先が変わってしまい、生涯にわたって影響が及ぶ可能性があります」

「学習への影響は大きい」

研究者にとっての課題のひとつは、学習機会の損失のうちどの程度が学校閉鎖によるもので、どの程度が転居やトラウマなどほかの要素によるものなのかを見極めることだ。学校を頻繁に欠席する子どもは、試験の成績がよくないことは立証されている。このため政策立案者は長年にわたり、「サマースライド」と呼ばれる長期休暇による学習機会の損失を懸念してきた(これに対して研究者は最近、夏休みによる学習衰退効果はおそらく小さいであろうと主張している)。

問題は、長期にわたる学校閉鎖に関するデータがほとんどないことである。災害のあとでも大部分の児童が、たいていは数週間以内に学習を再開している。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ