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原油価格が暴落しても、これ以上の減産は難しい? 産油国や事業者それぞれの事情

 新型コロナウイルスの影響で経済活動が停滞し、原油価格が一時的に史上初のマイナスになった。このため石油輸出国機構(OPEC)の加盟国などが協調減産を開始したが、実需の低下を考慮するとこのままでは終わらない可能性が高い。だが、これ以上の減産は極めてハードルが高いのだという。いったいなぜなのか。

TEXT BY DANIEL OBERHAUS

WIRED(US)

KANOK SULAIMAN/GETTY IMAGES
KANOK SULAIMAN/GETTY IMAGES

このほど原油市場で奇妙なことが起きた。4月20日に数分間、1バレルの価格が史上初めてマイナスになったのだ。

前代未聞のこの価格の暴落には、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が関係している。飛行機に乗ったりクルマを運転したりといった石油を大量に消費する活動を、人々が停止したからだ。

市場には石油があまりにも大量に余っていることから、世界にはその保管場所がなくなり始めている。あなたが石油の生産業者なら、この状況下でとるべき分別ある行動は、これほど多くの石油を生産するのをやめることだと思うだろう。

石油輸出国機構(OPEC)の加盟国であるロシア、米国およびその他の国々は、1日当たり1,000万バレル近くの減産を5月1日から開始している。減産によって価格を安定させ、石油の余剰分の貯蔵場所探しに苦労している生産業者と精製業者の負担を軽くするのが狙いだ。

しかし、この減産量では十分ではなさそうである。需要の減少と釣り合いをとるには、生産業者はこの3倍ほど産油量を減らす必要がある。それなら、なぜそうしないのか。

油田を封鎖そのものは簡単だが……

端的に言えば、油田の一時閉鎖や“封鎖”にはコストがかかり、そのコストは莫大なものになる可能性があるからだ。逸失利益だけの話ではない。価格がマイナスまで下落しているいま、逸失利益はそれほど大きな問題ではない。問題は油田を再開したときに起きることなのだ。

「油田を封鎖するのはそれほど難しいことではありません」と、テキサス大学オースティン校で石油工学を教えるエリック・バン・オートは言う。水道の蛇口を閉めるように、表面にある主バルヴを閉めるだけでほぼこと足りるのだ。しかし、それでけでは済まない。バン・オートは次のように語る。「事業者は通常なら、できる限り油田の封鎖を避けようとします。なぜなら、油田にダメージを与えることになるのを知っているからです」

米国は2年前から世界最大の原油産出国であり、その原油の大半はテキサス州内とメキシコ湾沖合の油井で採油されている。陸上における米国の原油のほとんどは、原油が低い透過性の岩の中に閉じ込められているシェール貯留層から産出されている。石油会社は原油を取り出すためにフラッキングとも呼ばれる水圧破砕法という技術を使い、地中深部にある岩に水やガスを注入して亀裂を生じさせる。

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