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人口857万人のスイスが「人材競争力世界一」な理由

 精密機械工業、銀行、製薬、チーズ、鉄道、ハイジ……。スイスと聞いて真っ先に想起するイメージは、人それぞれだろう。そんなスイスが、近年「世界一」の座を維持し続けているのが人材競争力だ。その根幹を成すスイスの2つの大学が進める産学連携の一端を紹介する。

TEXT & PHOTOGRAPHS BY TOMONARI COTANI

スイス・ジュネーヴ郊外にある世界最大規模の素粒子物理学研究所・CERN(欧州原子核研究機構)。メインキャンパスの地下約100mにあるATLAS検出器は、2012年に「神の粒子」と称されたヒッグス粒子の測定に貢献したことで知られている。1992年の実験開始以来、38カ国、183機関、約3,000人の物理学者がATLASを活用した国際共同研究をおこなっているが、そのATLASの創設者のひとりであるピーター・ジェンニは、地元スイスの名門ETH(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)の出身だ。
スイス・ジュネーヴ郊外にある世界最大規模の素粒子物理学研究所・CERN(欧州原子核研究機構)。メインキャンパスの地下約100mにあるATLAS検出器は、2012年に「神の粒子」と称されたヒッグス粒子の測定に貢献したことで知られている。1992年の実験開始以来、38カ国、183機関、約3,000人の物理学者がATLASを活用した国際共同研究をおこなっているが、そのATLASの創設者のひとりであるピーター・ジェンニは、地元スイスの名門ETH(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)の出身だ。

テレビは忘却を生むが、映画は記憶を生む

4月7日、ロックダウン下にあるスイス・ローザンヌから発信された「とあるインスタライブ」が、世界中で密かに話題を呼んだ。滅多にメディアに登場することがない御年89歳となる巨匠ジャン=リュック・ゴダールが、「コロナウイルス時代の映像(Les images au temps du coronavirus)」と題したインタヴューに応じたのである。

1時間半に及ぶ自宅でのインタヴュー(ちなみに、ゴダールがスイスに拠点を構えてかれこれ40年以上になる)において御大は、大学で映画を教えることの意義、オペラをモチーフにした新作映画のこと、言語という不備なるものへの執着、そして、ジャック・リベット、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメールといったヌーベルバーグの盟友たちへの思いを、シガーをくゆらせながら淡々と語った(「テレビは忘却を生むが、映画は記憶を生む/La television fabrique de l’oubli, alors que le cinema fabrique des souvenirs.」なる名パンチラインを残すことも忘れなかった)。

この動画を発信したのは、ECAL(ローザンヌ州立美術学校)。近年は、ミラノデザインウィークを始めとするデザインコンベンションの常連としても知られる、ヨーロッパ屈指のデザインスクールである。「生きる伝説」をスマートフォンの前に座らせ、1時間半もしゃべらせたことで、その影響力の大きさを改めて示したといえるだろう。

アインシュタインもスイスで学んだ

そもそもスイスは、デザインに限らず、国を挙げて高等教育--とりわけ科学技術の教育に力を注いでいる。国土が狭く(九州よりやや大きい程度)、天然資源が限られ(天然資源収入依存度は204カ国中174位/2017年)、人口も少ない(大阪府より少ない857万人)がゆえに、「人材力こそが国の根幹」と考えているからだ。その源となる機関のひとつが、アルベルト・アインシュタインの母校でもあるETH(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)だ。

 アインシュタインがETHに在籍したのは1895~96年。その後1912年に教授として帰還。その際に使用していたロッカーがETH構内に保存されている。

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